世界有数の観光地であるメキシコカンクン。そのカンクンの国立海洋公園には、400体を超えるセメント彫刻が海中深く沈められた「The Silent Evolotion」と呼ばれる海底美術館がある。

その海底美術館に2011年6月に追加された作品が、フォルクスワーゲンビートル型をしたセメント彫刻「Anthropocene」だ。8トンのセメントを使い、旧型ビートルをほぼ実物大のサイズで再現している。

フォルクスワーゲンビートル型をしたセメント彫刻「Anthropocene」
フォルクスワーゲンビートル型をしたセメント彫刻「Anthropocene」

8トンのセメントを使い、旧型ビートルをほぼ実物大のサイズで再現している
8トンのセメントを使い、旧型ビートルをほぼ実物大のサイズで再現している

この彫刻を制作したのは、アーチストのジェイソン・デュケー・テイラー氏。同氏によれば、彫刻のモチーフにフォルクスワーゲンビートルを採用した理由は2つあるという。

1つ目は、ビートルを海中深く沈めることで、それを見た人に強烈なインパクトを与えうること。テイラー氏は自身の彫刻により、人間が作り出してきたものが、地球の生態系に大きな影響を与えてきたことを伝えたいと考えている。ビートルは、メキシコでは2003年3月まで新車が製造されてきたこともあり、いまもメキシコの道路を多く走行している、自動車の代名詞的な存在。テイラー氏の目的に最適なモデルだったそうだ。

ビートルは、いまもメキシコの道路を走っている
ビートルは、いまもメキシコの道路を走っている

もう1つはビートルの形状が持つ抜群の安定性。ビートルは底部が大きく上部が小さい、安定した構造を持っている。このため、強い海流にさらされたり、ハリケーンに遭遇した場合でも、海中で安定した姿勢を維持することが期待できる。テイラー氏の彫刻は、海中で魚の住処や繁殖場となる「人工漁礁」としての役割も果たしており、それにはビートルの安定した形状が適していた。

ビートルの安定した形状は、人工漁礁にぴったり
ビートルの安定した形状は、人工漁礁にぴったり

ビートルの窓には小さな穴があいており、小魚が出入り可能になっている。下部のドアはロブスター用で、ここから入ってきたロブスターが、ビートル内部で繁殖することが期待されている。

窓の穴は小魚の、下部のドアはロブスターの出入り口
窓の穴は小魚の、下部のドアはロブスターの出入り口

海底美術館「The Silent Evolotion」には、多くの彫刻が存在しているが、乗り物を模したものの数は多くはない。ビートル以外には、自転車型の彫刻などがある。