電気自動車や水素自動車など、“エコカー”と呼ばれる自動車にはいくつか種類がある。だがその中でも究極のエコカーと呼べるものが北米国際自動車ショーに登場した。

THE FUTURE PEOPLE は、電動アシスト自動車「Zeppelin」のプロトタイプを公開した。これは、人力と電動モーターの“ハイブリッド”エンジンで走行する自動車だ。



「Zeppelin」の運転席と助手席にはペダルが取り付けられており、搭乗者はこれを足で漕いで前進する。このようなアイディアの乗り物は昔からあるが、自動車の車体は人力で動かすには重すぎるため、“遊園地の乗り物”に留まり、実用化されることはなかった。だがここ数年の電動アシスト技術の発達が、ペダル駆動による自動車の実用化への道を開いたのだ。

電動アシスト自動車「Zeppelin」の車内  窓が広いので見晴らしが良い
電動アシスト自動車「Zeppelin」の車内
窓が広いので見晴らしが良い

「Zeppelin」の重量は約122キロ。これは一般的な自転車の10倍近い重さだ。だが、「Zeppelin」は2人でペダルを漕げる上に、モーターによるアシストがあるため、平地であれば時速40キロで走行可能だという。バッテリーを満充電すれば、約32キロの距離を電動アシスト付きで走行できる。

平地であれば時速40キロで走行可能  でも、坂はきつそうだ
平地であれば時速40キロで走行可能
でも、坂はきつそうだ

これらのスペックは、一般的な自動車と比べれば、取るに足らないものであることは確か。だが、渋滞や信号待ちであまりスピードを出せない街中では、時速40キロは十分な速度だとも言える。また、32キロという短い航続可能距離も、街乗りに限定すれば現実的なものだと The Future People は主張している。

「Zeppelin」のスペックは街乗りには十分?
「Zeppelin」のスペックは街乗りには十分?

そして速度が遅いなどのデメリットがあるとしても、「Zeppelin」を利用すれば、温室効果ガスを排出しないことや、維持費が低いことなど、多くのメリットを享受できるようになる。

搭乗時は、ボディを上にはね上げてもぐりこむ仕組み
搭乗時は、ボディを上にはね上げてもぐりこむ仕組み

The Future People は、フォード モデル T 風の外観を持つ「Cyclone」のプロトタイプも公開している。こちらはレトロフューチャーなルックスが特徴の4人乗り。後部座席に2人の乗客を乗せて移動できる。

フォード モデル T 風の外観を持つ「Cyclone」
フォード モデル T 風の外観を持つ「Cyclone」

後部座席には大人2人がゆったり(のんびり)乗車できる  …前の2人は、ちょっと可哀そうかもしれない
後部座席には大人2人がゆったり(のんびり)乗車できる
…前の2人は、ちょっと可哀そうかもしれない