車内に潮水をたたえ、多くの魚を泳がせる「移動水族館車」が、葛西臨海水族園で公開された。水族館まで来られない病気の子どもなどのもとへ、水族館の方から出向こうという試みだ。


葛西臨海水族園が導入したのは2台。ひとつは専用トラック「うみくる号」、もうひとつはワゴン「いそくる号」。それぞれ海の生き物を乗せてやって来るクルマ、磯の生き物を乗せてやって来るクルマ、という意味。公募で決めた。


うみくる号は全長約 8m のトラックをもとに、荷台に約 1.6t 水槽2基を搭載している。それぞれの中は、熱帯の海と温帯の海と同じ環境になっており、トラックの側面からのぞきこめるようになっている。



熱帯の水槽ではサンゴ礁などに生息する色鮮やかな魚、温帯の水槽では東京湾などに生息する身近な生き物が見られる。



熱帯の魚(左)と、温帯の魚(右)が見られる
熱帯の魚(左)と、温帯の魚(右)が見られる

とっぴな仕掛けのようだが、考えてみれば、漁業大国日本では昔から魚を生きたまま運ぶトラック「活魚車」が盛んだ。すでに技術もノウハウも十分に高い水準に達しているはずだ。

いそくる号は、子どもが手で触れて学べる磯の生き物や、解説用の標本、パネルなどを載せて専用トラックに同行する補助車両。ウニやヒトデ、ナマコなどへのふれあいを通じて、生き物の体のつくりやくらしを知ることができる。


海の生命についてさわって学ぶことが可能
海の生命についてさわって学ぶことが可能

葛西臨海水族園では、これらの移動水族館車に来てほしい施設を募集するそう。病気で普段なかなか水族園に来られない子どものいる施設や、都立公園など多くの人が集まる場所を訪問する方針だ。