1泊2日で16回も航空機に乗るという「アイランドホッピングツアー」の最新版が、日本航空(JAL)のマイレージ会員向けに5月16日から始まる。小型プロペラ機で鹿児島県の薩南・奄美諸島を飛び回るという内容。一体誰が参加するのだろうか。


36人乗りの小型プロペラ機 SAAB(サーブ)340B
36人乗りの小型プロペラ機 SAAB(サーブ)340B

鹿児島空港近くのホテルを拠点に、JAL グループの日本エアコミューター(JAC)が運行する36席から74席の小型プロペラ機を利用し、薩南・奄美の離島を次々に訪れる。島から島への短い移動が中心で、搭乗回数は自然と多くなる。通常のツアーと異なり、各島で観光する時間は設けていないという。果たして申し込む人なんているのだろうか。

ツアーを扱う JAL グループの旅行会社ジャルパックに問い合わせたところ、「います」という回答。こうしたツアーはかねてから色々な航空会社の便で企画があり、時々テレビや雑誌も取り上げるほど人気なのだとか。

まず苦労に耐えて沢山の空の便を乗り継ぐことで、マイルの特典を獲得しやすくなる「マイル修行」として参加する人がいる。加えて「乗り鉄」ならぬ「乗り空」とでも言うか、「車窓マニア」ならぬ「機窓マニア」とでも言うか、美しい島々の風景を高みから眺望したり、撮影したりすることが楽しみな愛好家が少なくない。

同ツアーでは奄美~沖永良部(与論)~与論(沖永良部)~奄美という「三角飛び」を1日目、2日目とも旅程に含んでいる。この三角飛び航路は機窓風景が特 に美しく変化に富む。両日とも同じ航空機に乗るため、運航・客室乗務員も一緒。身近に親しめる雰囲気で周遊ができるという。

立ち寄り先の1つ、与論(ヨロン)島、色鮮やかな海の青と島の緑
立ち寄り先の1つ、与論(ヨロン)島、色鮮やかな海の青と島の緑

与論島まで来ると、沖縄はすぐそこ。でも行っているひまはありません!
与論島まで来ると、沖縄はすぐそこ。でも行っているひまはありません!

立ち寄り先の1つ、喜界島
立ち寄り先の1つ、喜界島

喜界島。サンゴの海に落ちた機影と、ローカル鉄道駅のような空港
喜界島。サンゴの海に落ちた機影と、ローカル鉄道駅のような空港

サンゴ石灰岩が風化した赤土の沖永良部島(左)、奄美大島南端の大島海峡
サンゴ石灰岩が風化した赤土の沖永良部島(左)、奄美大島南端の大島海峡

確かに愛好家には楽しい内容だと思うが、JAL グループはなぜまたこうしたツアーを続けているのだろうか。

実は JAL グループは以前から薩南・奄美諸島の離島に多数の航空路線を張り巡らせ、海上を結ぶ内航船フェリーとともに重要な生活路線となっている。それを維持するのが目的だ。

離島の空港は、大都市のそばにある空港とは異なる、独特な雰囲気がある。電気や通信機器の保守点検員とおぼしき人や、医療器材を搭乗手続カウンターで預けている人、待合室の一角を占める畳敷きスペースで寛ぐ老人、見送りに手を振る親子連れなどの光景が見られるそう。ちょうど乗り合いバスの停留所のような印象だと、JAL グループは説明している。

ただ一方で小型プロペラ機でも地元の利用者だけでは満席にならない現実もある。そこでうまく航空機ファンや「マイル修行僧」に使ってもらう、という着想なのだ。何とも奥深い世界である。