水も消火剤も使わず火を消す消防車のコンセプトモデル「ハボットミニ」。その機能を紹介する動画を、開発元のモリタグループが公開した。博物館に見立てたガラス箱の中で、ロウソクの灯が静かに消えてゆくようすが不思議だ。

ハボットミニ。小さな消防車のコンセプトモデル
ハボットミニ。小さな消防車のコンセプトモデル

ハボットミニは、災害現場の空気から「窒素」の濃度を高めた気体を作って、火が燃え上がる原因となる「酸素」の濃度を下げる。2014年にモリタが発表した消防車「Miracle N7」と同じ仕組みで、そのミニチュア版にあたる。


ドイツで開かれた消防防災展「INTERSCHUTZ(インターシュッツ)2015」で披露となり、実際に火を消す実験も実施。モリタでは現地のようすを YouTube で公開している。

実験では、まず博物館に見立てたガラス箱の中に複数のロウソクを置き、灯りを点す。そこへ外からハボットミニのホースを差し込み、窒素を多く含んだ気体を注入していく。

ハボットミニは側面の穴から空気を吸って、窒素を高めた気体を作る
ハボットミニは側面の穴から空気を吸って、窒素を高めた気体を作る

博物館に見立てたガラス箱にロウソクを置き、ホースで窒素を
博物館に見立てたガラス箱にロウソクを置き、ホースで窒素を

するとロウソクは気体の注入口に近いところからゆっくりと消えてゆくではないか。

ロウソクはどんどん消えてゆく
ロウソクはどんどん消えてゆく

水も薬も使わない「窒息」消火だ。しかも短時間であれば人体に影響はないそう
水も薬も使わない「窒息」消火だ。しかも短時間であれば人体に影響はないそう

この実験からはハボットミニの特徴がいくつかうかがい知れる。まず効果を発揮するのは、博物館や図書館など閉じた空間での火災だということ、また注入した気体の影響は一瞬で部屋全体に均等に及ぶのではなく、場所によってある程度ずれがあることだ。

未来的なデザインが注目を集めたハボットミニだが、こうして動画を見ると、機能もなかなか興味深い。今後、同じ仕組みを採用したより強力な実用モデルが登場するのかどうかも、注目したいところである。