米国のロボット製作チームMegaBotsが、水道橋重工のロボットクラタスに挑戦状を叩きつけたのが先月初め。あれから約一か月経ったが、米国チームは着々と準備を進めているようだ。MegaBotsは、クラウドファンディングサイトkickstarterで資金の調達を開始した。

着々と戦いへの準備を進めるMegaBots  手に握られているのは半田ごてに見えるが、大丈夫か?
着々と戦いへの準備を進めるMegaBots
手に握られているのは半田ごてに見えるが、大丈夫か?

米国チーム側は、現時点では同チームのロボットに勝ち目が薄いことを認めている。スピードが遅く、ボディバランスが悪くて倒れやすい上に、倒れた場合の搭乗者の安全が保証されていないのだ。そしてなにより、表面は錆びだらけでカッコ悪い。


なぜ、錆びているのだ?
なぜ、錆びているのだ?

MegaBotsが目指しているのは最低でも50万ドル(約6,190万円)、最高では150万ドル(約1億8,600万円)の資金調達。この資金により、米国チームは現在のロボットを「Mk.II」にアップグレードする。より多くの資金が集まるほど、クラタスに勝つ可能性がより高まるという。

アップグレードされた「Mk.II」の完成予想図  サングラスをかけたイーグルが、ちょっと、不気味だ…
アップグレードされた「Mk.II」の完成予想図
サングラスをかけたイーグルが、ちょっと、不気味だ…

50万ドルの調達に成功した場合、米国チームはスピードを5倍にするとしている。これに成功すれば、「Mk.II」はクラタスの2倍高速に動けるようになり、スピードで翻弄できるという。

クラタスの2倍高速になる!?
クラタスの2倍高速になる!?

100万ドル(約1億2,400万円)の調達に成功した場合、セルフバランス機構を取り付ける。現時点ではMegaBotsのロボットは非常に不安定であり、例えばクラタスにパンチ攻撃を行った場合、MegaBotsのロボット自身が後ろに倒れてしまう可能性がある。

確かに、頭、でっか過ぎでしょ
確かに、頭、でっか過ぎでしょ

だがIHMC Roboticsのセルフバランス技術を導入すれば、クラタスに攻撃を加えた場合でも、攻撃を受けた場合でも、立ち続けていられるロボットに生まれ変わる。

100万ドルで導入できるIHMC Roboticsのセルフバランス技術
100万ドルで導入できるIHMC Roboticsのセルフバランス技術

125万ドル(約1億5,500万円)調達した場合、NASAのライフセイフティ技術を導入する。現時点では操縦席はほぼむき出しの状態。このまま戦った場合、操縦者はクラタスからの攻撃による衝撃で気を失い、戦闘不能に陥る可能性がある。

現在の操縦席  農機具のようだ
現在の操縦席
農機具のようだ

参考画像:クラタスのコックピット  フルHUDが搭載されている
参考画像:クラタスのコックピット
フルHUDが搭載されている

だが、スペースシャトルの打ち上げでも乗員を衝撃から守るNASAの技術を導入すれば、クラタスからの攻撃を受け、ロボットがダメージを受けても、操縦者は意識を保ち、戦いを続けられるという。

スペースシャトル打ち上げ  乗員は1.6Gで椅子に押しつけられるが意識を失うことはない  ちなみに、1.6Gは旅客機の離陸時にかかるGの約5倍
スペースシャトル打ち上げ
乗員は1.6Gで椅子に押しつけられるが意識を失うことはない
ちなみに、1.6Gは旅客機の離陸時にかかるGの約5倍

最高額である150万ドル(約1億8,600万円)の調達に成功した場合、「Mk.II」はハリウッドレベルのルックスを獲得する。現在のルックスは、KURATASの開発者である倉田光吾郎氏に「もうちょっとカッコよく作れよ!」と動画で指摘されたほど。クラタスとは比較対象にならないほどの、“アメリカ品質”な外観だ。

だが150万ドルの資金を得た場合、映画『スターウォーズ』シリーズや『ターミネーター』シリーズ、それに『マトリックス』シリーズに参加していたFonCo Creative Servicesが、「Mk.II」をハリウッドレベルのルックスに仕上げるという。

「Mk.II」をハリウッドレベルのルックスに仕上げると誓うFonCo Creative Services
「Mk.II」をハリウッドレベルのルックスに仕上げると誓うFonCo Creative Services

なお、kickstarterへの出資者に対しては、「Mk.II」のTシャツなどがプレゼントされる。

これがプレゼントされるTシャツ  欲しい?
これがプレゼントされるTシャツ
欲しい?

こうして改めてMegaBotsの現状を見ると、「これでよくクラタスに喧嘩を仕掛けたな」とあきれてしまうレベルであることがわかる。だが資金さえ集まれば、それもより多く集まれば集まるほど、クラタスに勝利する可能性が高まるのもよくわかる。まさに、アメリカだ。

倉田氏は、公式Blog「なんでも作るよ。」で次のように述べていたが、その通りの展開となってきた。

「正直金があればできることなんざ、世界中だれでもできると思うんす。コメントにもありましたが、日米対決の色が濃くなってきたならば、アメリカはキックスターターというアメリカ的な発想でロボを改造すればいい。こっちは日本のもの作りの意地を見せる意味でも、技術や部品、その他もろもろ、お金以外の繋がりで戦いたい!」

クラタスと「Mk.II」、どちらが勝利するのかはわからない。だがその前に、まずはどれだけの金額が集まるのか、そこに注目してみたい。