「Fontus」は空気中に含まれる水分から飲み水を作り出すデバイス。その「Fontus」がついにクラウドファンディングプロジェクトをスタートした。調達金額は開始1時間足らずで目標としていた3万ドルを上回り、本稿執筆時点では11万ドルに近付きつつある。

空気中に含まれる水分から飲み水を作り出す「Fontus」  クラウドファンディングスタート
空気中に含まれる水分から飲み水を作り出す「Fontus」
クラウドファンディングスタート

開発元のFontusによれば、「Fontus」を開発した目的の1つは、サイクリストやハイカーをより自由にすることだそう。サイクリングやハイキングのコースを計画する際には、水の補給ポイントをルート内に含める必要がある。そうでなければ、重い水を大量に持って移動することになってしまうためだ。食料は様々な工夫によって軽量化することも可能だが、水を軽量化することはできない。


「Fontus」があれば、重い水を持ち運ばなくても大丈夫
「Fontus」があれば、重い水を持ち運ばなくても大丈夫

「Fontus」を利用することで、サイクリストやハイカーは、これまでよりもずっと柔軟なルート選択が可能になると、Fontusは述べている。

これまでは計画できなかった、より柔軟なルート選択が可能に
これまでは計画できなかった、より柔軟なルート選択が可能に

また「Fontus」は、洪水などが多発し、湿度は高いが清潔な水が入手しにくい地域でも有効であるという。例えば、子どもが「Fontus」を持って通学すれば、通学中に飲料水を貯めることができる。

「Fontus」が有効な地域
「Fontus」が有効な地域

「Fontus」には、「Ryde」と「Airo」の2種類があり、使い方に応じて選択が可能だ。

自転車に取り付けて使用する「Ryde」
自転車に取り付けて使用する「Ryde」

ハイキングで便利な「Airo」
ハイキングで便利な「Airo」

「Ryde」は、自転車のフレームに取り付けて使用。走行することで吸気口から水分を含む空気を内部に取り入れ、飲料水を作り出してボトル内に貯水するという仕組みだ。ある程度以上の湿度のある場所であれば、1時間走行することで0.5リッターの飲料水を取り出せるという。

「Ryde」は、フレームにワンタッチで取り付け可能
「Ryde」は、フレームにワンタッチで取り付け可能

1時間走行することで0.5リッターの飲料水を入手できる
1時間走行することで0.5リッターの飲料水を入手できる

「Airo」は、ボトルの回りに大型のソーラーパネルを巻き付けたタイプ。「Rydo」とは異なり、自転車走行時の空気の流れを利用することはできない。代わりに、ソーラーパネルで発電した電力でファンを回し、空気を取り入れるという仕組みを採用している。

「Airo」は、ソーラーパネルで発電した電力でファンを回して空気を取り込み
「Airo」は、ソーラーパネルで発電した電力でファンを回して空気を取り込み

取り込んだ空気から
取り込んだ空気から

飲料水を取り出せる
飲料水を取り出せる

どちらのモデルでも、取り入れた湿った空気を冷却することで、水分を取り出している。冷却には、「ペルチェ冷却システム」が採用された。

冷却には、「ペルチェ冷却システム」を採用
冷却には、「ペルチェ冷却システム」を採用

Fontusが出資者募集のキャンペーンを実施しているのは、クラウドファンディングサイトIndiegogo。本稿執筆時点では、165ドルの出資で「Ryde」を1台入手可能だ。「Aira」の入手に必要な出資額は200ドルとなっている。どちらも、日本への送料が別途必要。入手に必要な金額はキャンペーンが進むにつれて上昇し、終了後の市販価格は「Rydo」が225ドル前後、「Airo」が250ドル前後となる予定。出荷は2017年4月に予定されている。