4月1日、多くの企業がエイプリルフールニュースを公開した。中でも世界のサイクリスト達を喜ばせたのが、GoogleオランダがYouTubeで発表した「自動運転自転車」だ。


「オランダでの自動運転自転車の導入」と題されたこの動画の説明には、次のようにある。


「今春Googleは、世界最大の自転車都市であるアムステルダムに、自動運転自転車を導入する。オランダ人は、世界のどの国の人よりも自転車で移動する距離が長く、その距離は国民1人当たり年間900キロ、国民全体では年間150億キロを超える。自動運転自転車の導入は、アムステルダムの住人に対して自転車による安全な移動を提供するだけでなく、“テクノロジーにより、都市交通を改善する”というGoogleの野望を前進させるものとなるだろう」

動画の前半では、人の乗っていない“無人自転車”が街を走る様子が描かれている。無人自転車は、赤信号を認識して自動的に停止し、青信号で発進する。

人の乗っていない“無人自転車”が街を走る
人の乗っていない“無人自転車”が街を走る

無人自転車は、赤信号で自動停止し、
無人自転車は、赤信号で自動停止し、

青信号で発進する
青信号で発進する

アムステルダムには、オランダ最大のトラム網が存在するが、無人自転車はトラムの走行を遮ることもなく走行が可能だ。

トラムの走行を邪魔しない
トラムの走行を邪魔しない

これを実現しているのは、Googleが自動運転自動車の開発で培った各種センサーテクノロジー。周囲の自動車やトラムや歩行者、そして信号などを認識し、交通状況に応じた運転を実施する。

自動運転自動車の開発で培ったテクノロジーを  惜しげもなく投入
自動運転自動車の開発で培ったテクノロジーを
惜しげもなく投入

自動車と異なるのは、自動運転自転車には、セルフバランシング機能も搭載されている点だ。これにより、自転車は人間によって意図的に倒されても、起き上がり小法師のように自動的に起きあがれるようになっている。

新たに開発された、セルフバランシング機能も導入された
新たに開発された、セルフバランシング機能も導入された

動画の後半は、自動運転の応用例が描かれている。最初の例に登場するのは、仕事が忙しいビジネスパーソン。彼女は運転を自転車に任せ、取引先に電話をかけたり、PCで書類をチェックしたりしている。

自動運転自転車であれば、  自転車に乗りながら取引先に電話をかけられる
自動運転自転車であれば、
自転車に乗りながら取引先に電話をかけられる

自転車通勤をしながら、PCで作業をすることも
自転車通勤をしながら、PCで作業をすることも

2つ目の例は、まだ自転車に乗れない子どもたちが登場するもの。自動運転の導入により、子どもたちは行きたいときに行きたい場所に、自分達だけで行けるようになるというものだ。その結果、子どもたちのお母さんは、自分の時間をより多く持てるようになる。

自動運転のおかげで、子どもたちは自分達だけでどこにでも行けるようになる
自動運転のおかげで、子どもたちは自分達だけでどこにでも行けるようになる

見よ、この余裕!  そして、キャンディー
見よ、この余裕!
そして、キャンディー

「自動運転ママ」となった女性は、  お茶を飲みながら自分の時間を楽しめるように
「自動運転ママ」となった女性は、
お茶を飲みながら自分の時間を楽しめるように

さてこの動画は、見た人に笑ってもらうために製作されたもの。このため、突っ込みどころは満載になってはいる。とはいえ、もし、自動運転自転車が実現すれば、自転車事故は減り、街がより安全になるのではと考えさせる部分もある。

自動運転の導入で、自転車事故は減る?
自動運転の導入で、自転車事故は減る?

例えば信号を守る機能。信号が赤のときには走行できないように設定しておけば、自転車による信号無視はなくなる。これだけで、自転車事故はかなり減少するのではないだろうか?

自転車の違反に対しては、厳罰化が進んでいる。それも交通事故の減少につながる重要な施策なのかもしれない。だがそれよりも、“テクノロジーを進化させることで事故を減らす”という発想の方が、ずっとワクワクする。規制ではなく、テクノロジーによる安全の向上は、技術立国日本でこそ実現されるべきではないか。


動画は1分54秒。自転車好きの方には、是非一度視聴して頂きたい。エイプリルフールはすでに過去のことになったが、この動画には未来がある。


オランダ、自動運転自転車を導入へ