欧州や米国では、電動アシスト自転車のルックスが電動アシストらしくないのは、もはや当たり前のことになりつつある。そして、普通の自転車と同じルックスを持った上で、さらなる付加価値を競うフェーズに入った。

電動アシストに見えない電動アシストは、もはや当たり前
電動アシストに見えない電動アシストは、もはや当たり前

米国シアトルのZeitgeistも、この付加価値競争に名乗りを上げた自転車メーカーのひとつ。同社の電動アシスト自転車「Zeitgeist X」の付加価値は、カーボンファイバーフレームの採用。これにより、重さ19.7キロを実現している。

「Zeitgeist X」の付加価値は、カーボンファイバーフレームの採用
「Zeitgeist X」の付加価値は、カーボンファイバーフレームの採用

「Zeitgeist X」が電動アシストに見えない秘密は、バッテリーとモーターにある。バッテリーは、ダウンチューブに組み込まれ、外見からそれとわからないよう隠された。

バッテリーは、ダウンチューブに組み込まれた
バッテリーは、ダウンチューブに組み込まれた

バッテリーは取り外し可能で、家庭用電源で充電可能だ。1回の充電で130~160キロ程度アシストできる。

予備バッテリーを持ち歩き、さらに航続距離を伸ばすことも
予備バッテリーを持ち歩き、さらに航続距離を伸ばすことも

この大容量バッテリーが駆動するのは、後輪に組み込まれたハブモーター。このモーターは電動アシストとわからないルックスの形成に貢献している小型なもの。だが、最高速度時速45キロで走行可能なパワフルなものでもある。

モーターは、後輪ハブ取り付けタイプ
モーターは、後輪ハブ取り付けタイプ

バッテリーとモーターによって電動アシストとわからない外見を獲得した「Zeitgeist X」のもう1つの特徴がその素材だ。フレームとフォークにはカーボンファイバーカーボンファイバーが採用され、軽量化を果たすとともに、プレミア感の演出に成功した。購入した人が特別なものと感じられる1台に仕上がっている。

カーボンファイバーフレームで、プレミア感を演出
カーボンファイバーフレームで、プレミア感を演出

「Zeitgeist X」のもうひとつの付加価値は、低価格。販売元のZeitgeistは現在、CROWDSUPPLYで資金調達キャンペーンを実施しているが、キャンペーンでのアーリーバード価格は3,999ドル。この価格は、「Zeitgeist X」同様に、電動アシストに見えないルックスを持つ「Stromer ST2」よりも低く設定された、かなり戦略的なものだ。

他社の電動アシストと、Zeitgeist製品の比較表  航続距離が長く、軽量であるにもかかわらず  価格が低く抑えられている
他社の電動アシストと、Zeitgeist製品の比較表
航続距離が長く、軽量であるにもかかわらず
価格が低く抑えられている

参考画像:「Stromer ST2」  「Zeitgeist X」同様、ハブモーターとダウンチューブ内バッテリーを搭載している
参考画像:「Stromer ST2」
「Zeitgeist X」同様、ハブモーターとダウンチューブ内バッテリーを搭載している

Zeitgeistはその他、アルミフレームを採用した廉価版「Zeitgeist S」モデルも用意している。こちらは重量23キロで、1回の充電でアシスト可能な距離は80から120キロと、仕様に関しては「Zeitgeist X」よりも若干低め。だが、CROWDSUPPLYキャンペーンでのアーリーバード価格は2,999ドルと、買い得感のある設定になっている。

アルミフレームを採用した廉価版「Zeitgeist S」モデル
アルミフレームを採用した廉価版「Zeitgeist S」モデル

ところで、欧州や米国では、なぜここまで電動アシスト自転車がブームなのだろうか?CO2削減に本気で取り組んでいるというのは本当だろう。だがそれだけではないようだ。


米国のミレニアル世代はそれ以前の世代と比較して、クルマを買わないのだそうだ。米国の場合、親は子どもの学費を出さないことが多い。このため、大学を卒業した時点で有利子の教育ローンを抱えており、新車を買う余裕がない。以前の世代であれば中古車を購入していたが、ミレニアル世代は排気ガスがクリーンとはいえない古いクルマを嫌う傾向にある。このため、日本人の目から見れば、かなり高価に見える電動アシスト自転車に手を出すのだそうだ。また、都市部での駐車場探しにうんざりしているというのも、クルマを購入しない理由のひとつだという。

「Zeitgeist X」は、この層を狙った電動アシスト自転車。カーボンファイバーフレームのプレミアム感で、ミレニアル世代のビジネスパーソンを惹きつける。


なお、「Zeitgeist X」は最高速度が時速45キロに設定されているため、日本では電動アシスト自転車として認められず、公道を走行できない点には留意されたい。