米国 Spike Aerospace がユニークな超音速プライベート ジェット機「Spike S-512」を実現させようとしている。プライベート ジェット機で超音速というのは素晴らしいが、取り立てて斬新さは感じない。驚くのは、この飛行機、客室キャビンに窓がないのに外が見えること。窓の代わりに薄型ディスプレイを壁に設けて、カメラで撮影した外部の風景を映し出すそうだ。なんでこんなに面倒くさいことをするの?

え!? 側面全部が窓!?
え!? 側面全部が窓!?

まず、この飛行機の基本的な性能をみてみよう。巡航速度はマッハ1.6(時速1,060マイル/時速約 1,700km)、最高速度はマッハ1.8(時速1,200マイル/時速約 1,900km)。一般的な旅客機の速度は(普通マッハで言わないが)マッハ0.85(時速567マイル/時速約 900km)程度なので、その倍といったところ。つまり、目的地にこれまでの半分の時間で着いちゃいます。


例えば、東京とロサンゼルス間なら8時間、ロンドンとニューヨーク間なら3時間から4時間で移動できる。忙しいビジネスマンにピッタリ。1機いかがですか。12人から18人乗れるそうなので、同僚と共同購入もいいかな。

で、問題の窓がない客室キャビン。Spike Aerospace 曰く「日差しで眩しい思いをしないし、日よけを上げ下げしなくて済む。それなのに、息をのむような風景が目前に現る」。寝る時には画面を消せば暗くできるし、実際の景色とは全然違う場所の映像も流せる。映画を映すことだってできるね。

仕組みはいたって簡単。機体周囲に取り付けたカメラで外部を撮影し、その映像を壁の薄型スクリーンに表示するというだけ。「窓を作ればいいのに、なんでそんな面倒なことをするの?重くなったりして良くないんじゃない?」と思った僕は素人でした。

まず大前提として、飛行機にとって客室キャビンの窓は厄介なものだそうです。窓を作ると機体の強度が落ちるため、機体を支える構造が多く必要となり、部品が増え重さも増してしまう。しかも、機体外部の形状が凸凹してしまうので、空力特性も低下する。燃費と速度に悪影響だよね。貨物機とかで窓を作らないのは、そういう理由もあるのだろうな。そこで、Spike Aerospace は窓を取っ払っちゃったんだ。納得。

ただ、これだけの飛行機を開発するとなると莫大な資金が必要で、実際に日の目を見るのかな。5年から7年で完成させる計画らしいので、2020年の東京オリンピックに間に合うかも。

超音速プライベート ジェット機「Spike S-512」
超音速プライベート ジェット機「Spike S-512」

(この記事は、弊社姉妹サイト、インターネットコムに2014年2月21日に掲載された記事を一部編集したものです)