アルゼンチンで、小型軽量の家庭用エレベーター「バキュームエレベーター」が開発されました。このエレベーターを紹介している Daytona Elevator によれば、同国ではすでに300軒以上の家庭に設置されているということです。


世界の多くの国では、お年寄りや足腰に問題を抱えた人のため、バリアフリーのエレベーターを設置する家庭が増えています。でも取り付けには巻き上げ機を配備する機械室が必要。これは建物内のかなりのスペースを奪います。コストも高額で、設置費用の他、定期的なメンテナンス費用も発生。一般の家庭では手を出しにくいのが現状です。
 
「バキュームエレベーター」は、家庭用の安価な超小型エレベーター。機械室が不要なため、通常のエレベーターよりも省スペースで設置できます。本体はアルミニウムとポリカーボネートでできているため、驚くほど軽量。このため、取り付け工事も簡単で、工事費を含む設置費用は、通常のエレベーターと比較してはるかに少なくてすむのだとか。通常のエレベーターのように注油などのメンテナンスも不要なので、ほぼメンテナンスフリーで使用可能だそうです。


安価で小型軽量の 「バキュームエレベーター」  ほぼメンテナンスフリーです
安価で小型軽量の 「バキュームエレベーター」
ほぼメンテナンスフリーです

「バキュームエレベーター」は、気圧差を利用して動作します。かご室に搭乗して昇降ボタンを押せば、エレベーター最上部に取り付けられた真空ポンプが作動。かご室上部筒内の気圧が低下し、かご室が吸い上げられて上昇する仕組みとなっています。

エレベーターのかご室に
エレベーターのかご室に

人が搭乗して昇降ボタンを押すと、
人が搭乗して昇降ボタンを押すと、

エレベーター最上部に取り付けられた真空ポンプが作動し、  かご室が上昇します
エレベーター最上部に取り付けられた真空ポンプが作動し、
かご室が上昇します

と、小難しいことを書きましたが、一言で言えば、「電気掃除機がゴミやホコリを吸い込む」のと同じように、「真空ポンプかご室を吸い上げている」と考えればほぼ正解でしょう。かご室はロック機能を持っており、目的の高さでロックされるので、安全に乗り降りできます。

「4」の位置に設置された巨大掃除機が、カゴ室を吸い上げている、ということです
「4」の位置に設置された巨大掃除機が、カゴ室を吸い上げている、ということです

標準タイプの「バキュームエレベーター」のサイズは、直径およそ1メートル。最大荷重は約200キロ。上昇速度は毎分9メートルとなっています。車椅子での乗降に対応したタイプもあるようです。

車椅子対応タイプ  サイズが若干大きめに見えます
車椅子対応タイプ
サイズが若干大きめに見えます

国外の掃除機は、一部メーカーのものを除き、騒音が激しいものがほとんど。掃除機をかけていると、会話はまず不可能です。「バキュームエレベーター」は、ある意味巨大な掃除機なので、騒音の面がちょっと心配ですね。でも、取り付けが簡単でメンテナンスフリーであれば、これから高齢化が進む日本の家屋にも導入される日がくるかもしれません。

こんな取り付け方も!  おしゃれ、ですね
こんな取り付け方も!
おしゃれ、ですね

オーラ!
オーラ!