世界人口は2050年には91億人、2075年にはピークとなる92億人に達すると予想されている(出典:国連の超長期推計)。このため、世界の多くの都市で人口過密による土地不足が発生すると見込まれている。

この土地不足解決に向けた高層建築アイディアを公募するコンテスト「eVolo Skyscraper Competition 2014」の入選作が3月20日発表された。様々な未来的な建築デザインが投稿されたが、中でも特に画期的とされたのが、英国の Christopher Christophi 氏と Lucas Mazarrasa 氏による「Hyper-Speed Vertical Train Hub」。同作品は、「Honorable Mention(選外佳作)」に選ばれている。



高層ビルとは、限られた土地に大きな収容力を求めるための建築工法。これまでその応用は、住宅かオフィスに限られてきた。「Hyper-Speed Vertical Train Hub」は、高層建築を鉄道のターミナル(ハブ)駅に適用するものだ。

「Hyper-Speed Vertical Train Hub」では、都市に地上高350メートルのエンパイアステートビル並みの高層ビルを建築。これをステーション(ハブ)駅として活用するというアイディア。広大な土地を必要とするターミナル(ハブ)駅を高層ビル化することで、その占有面積を大幅に削減し、削減した土地を住宅地や公園に転用できるとしている。

ターミナル(ハブ)駅を高層ビル化することで、その占有面積を削減できる
ターミナル(ハブ)駅を高層ビル化することで、その占有面積を削減できる

このターミナル駅「Hyper-Speed Vertical Train Hub」に到着した電車は、高層ビル表面に設置された駅に“吊り下げ”られる。車内の客室は10人前後が搭乗できる個室になっており、電車が傾くとそれにあわせて各個室が“観覧車に取り付けられたゴンドラ”のように回転。これにより、乗客は常に地面に対してまっすぐに立てる仕組みだ。電車が完全に静止した後、各個室に取り付けられた乗降口から乗客が乗り降りする。

乗客が吊り下げられた電車から安全に乗り降りする仕組み
乗客が吊り下げられた電車から安全に乗り降りする仕組み

現時点では不可能に見えるこのアイディア。でも、このコンテストが目指しているのは、世界人口がピークを迎える2075年を見据えたソリューション。それまでには、電車を安全に吊り下げる技術が開発されているかもしれない。