日本を代表するエコカー『トヨタプリウス』は、レオナルド・ディカプリオさんなどのハリウッドセレブを含む、米国の富裕層に高い人気を誇っています。でも、そのプリウスからシェアを奪いつつある自動車があるのを御存知でしょうか?それが『テスラモデル S』です。

『テスラモデル S』
『テスラモデル S』

IHS Automotive の調査によれば、『テスラモデル S』を購入したオーナーが、乗り換え前に所有していた自動車ブランドの第1位は「トヨタ」で15.51%となっています。その他、Lexus や ホンダ、Acura や Infiniti といった、日本メーカーのブランドがずらり。また、ベンツや BMW、Audi といったドイツメーカーのブランドも上がっています。そう、『テスラモデル S』は日本やドイツなどメーカーによる、高品質な自動車からシェアを奪っているのです。

『テスラモデル S』にシェアを奪われている自動車ブランド(出典:IHS Automotive)
『テスラモデル S』にシェアを奪われている自動車ブランド(出典:IHS Automotive)

アメ車が、日本車やドイツ車からシェアを奪っているなんて、ちょっと信じられませんよね。そんな奇跡(?)を実現した『テスラモデル S』って、どんな自動車なんでしょう?これ、気になりませんか?

気になったらでかけてみるのがえん乗り編集部。というわけで、2014年3月29日に箱根で実施された試乗会に出かけてみました。実際に乗ってみると、びっくりすることの多い自動車です。ここでは、その“5つのびっくり”をお伝えします。

『テスラモデル S』リアまわり
『テスラモデル S』リアまわり

■乗ってわかった5つの“びっくり”

1. ボンネットの中にエンジンがない


試乗会がスタートして、まずは担当の方がボンネットを開けてくれました。と、そこには、何もない広大な空間が!通常の自動車であればエンジンが設置されている場所が、ラゲージスペースになっているというのは、かなりの驚きです。

ボンネット下は、広大なラゲージスペース!
ボンネット下は、広大なラゲージスペース!

『テスラモデル S』のモーターは、リアホイールの間に収まっているため、ボンネット内に駆動系コンポーネントを設置する必要はありません。…なんてことは、事前に調べて知ってはいたのですが、実際にこのボンネット内部を見るとびっくりします。

ちなみに、ボンネットのオープンは、こんなかわいらしいキーを使用して行います。

『テスラモデル S』のキー
『テスラモデル S』のキー

2. トランクルームにエンジンが出っ張っているわけでもない

リアホイールの間にモーターが設置されているとして、では、リアのトランクが狭いのかというとそういうわけではありません。トランクも大容量を確保しています。また、リアトランク部分には、オプションで座席を取り付け可能。収容人員を7人に増加することもできるそうです。

直下にエンジンが搭載されているとは思えない、大容量のトランク
直下にエンジンが搭載されているとは思えない、大容量のトランク

ちなみに、バックシートも広いんですよ。

後部座席の足元には十分な余裕があります
後部座席の足元には十分な余裕があります

3. 「タブレット端末?」―センターコンソールに取り付けられた巨大スクリーン!

センターコンソールには一見、「iPad?」と見まがうような大きめのスクリーンが取り付けられており、このスクリーンをタッチすることで、エアコン、オーディオなど様々な車内装備をコントロール可能になっています。

タブレットみたいなコンソールで車内装備をコントロール
タブレットみたいなコンソールで車内装備をコントロール

センターコンソールでは、3G 回線でインターネット接続することも可能。Web サイトを閲覧できます。試乗車では、Google マップが表示されていました。

センターコンソールでは、Web サイトを閲覧可能
センターコンソールでは、Web サイトを閲覧可能

Google マップも表示できます
Google マップも表示できます

4. シフトレバーがない!?

クラッチを踏んで、シフトレバーを操作し、ギアを変える。自動車が普及してから何十年もの間、ドライバーが続けてきた動作です。いまも欧州を走る自動車の90%近くがマニュアル車。運転とは、シフトレバーを操作することだと考えている人が多く存在します。

『テスラモデル S』はそのような、既存の自動車の概念を根本的に変えてしまうマシン。シフトレバーは、まるで「ウィンカーレバー」のような小さなバーになっているのです。

これが『テスラモデル S』のシフトレバー。ウィンカーレバーと間違えそうです
これが『テスラモデル S』のシフトレバー。ウィンカーレバーと間違えそうです

これで走行になんの問題もないことはわかるのですが、でもわかっていても、頭が追いついてきません。

5. 坂を坂と感じさせない太いトルク

「電気自動車って、エコのために、いろいろ我慢しなきゃいけないんでしょ?」

そんなイメージ、ないですか? 筆者にはありました。でも、『テスラモデル S』のハンドルを握り、アクセルを踏んでみると、そのイメージはあっさりと覆されます。エンジンではなく、モーターなので当然なのですが、とにかく低速のトルクが豊か。坂が多い箱根ターンパイクの試乗コースをすいすいと上っていきます。

かなりの坂も、楽々上っていきます
かなりの坂も、楽々上っていきます

筆者はこの試乗コースまでレンタカーで出向いたのですが、そのレンタカーでは5,000回転近くエンジンを回さないと、この坂を登れませんでした。『テスラモデル S』は、その坂をまるで平地のように楽々と上っていくのです。

『テスラモデル S』では、坂を坂だと感じさない、疲れの少ない楽しいドライビングが楽しめます。…もっとも、エンジンをぶん回して走るのも楽しいんですけどね。

■『テスラモデル S』は自動車というよりもハイテク機器?

『テスラモデル S』は、細かいところの作り込みなどを含め、所有欲を満足させてくれる製品です。

『テスラモデル S』は、所有欲を満足させる自動車
『テスラモデル S』は、所有欲を満足させる自動車

アメ車が?? と思うかもしれませんが、テスラの米国の本拠があるのは、シリコンバレーのメンローパーク。すぐ近所には Facebook の本社があり、車で20分も走れば Apple 本社に到着する。そんな場所です。そう、『テスラモデル S』は、アメ車品質というよりは、Apple 品質。自動車というより、ハイテク機器だと思った方が良いのかもしれません。

さて、そんな魅力的な『テスラモデル S』ですが、じゃぁ買うか? と聞かれると、現時点ではそれは難しいと言わざるをえません。その理由を説明します。

■テスラの、ここが“困った”

1. マンションの立体駐車場には、充電用ケーブルが設置できない?


『テスラモデル S』を自宅充電する場合、自宅への専用設備の設置が要求されます。テスラのプロダクトスペシャリストの方から聞いたお話によると、この設備をマンションの駐車場に設置するのは、なかなかに難しそう。なので、一軒家住まいの人でないと、購入するのは難しいかもしれません。筆者の住む建物の立体駐車場では、多分、無理でしょう。

『テスラモデル S』は、自宅にガレージが付いていたり、自宅前に大きめの駐車スペースがあったりする米国の住宅を想定して作られているのと考えられます。そういう環境であれば、『テスラモデル S』の専用充電設備を設置するのは簡単です。

こんな家なら、多分、簡単です
こんな家なら、多分、簡単です

でも日本だと、特に都心だと、なかなか難しそうです。

2. すぐには手に入らない

『テスラモデル S』は、今すぐ発注しても、納車は年内に間に合うかどうか、という状況なんだとか。8か月待ちは、ちょっと辛いですよねぇ。

とはいうものの、『テスラモデル S』は、乗ってみると本当に楽しい自動車。買う、買わないはおいといて、一度試乗されてみるのはいかがでしょうか? 思った以上に楽しめますよ! 

この日の試乗車はこの2台でした
この日の試乗車はこの2台でした