5月28日より、JAL 国内線の新仕様機材「JAL SKY NEXT」の導入が東京(羽田)=福岡線で開始された。

長身で腰痛持ち、かつファーストクラスとは無縁の庶民というお世辞にもフライト向きとはいえないスペックの筆者。だが北と南へ比較的長距離移動の機会が多く、密かに同機には注目していた。航空会社を選ぶ基準は、料金、スケジュール、サービスなど様々だが、同機の導入は新たな動機づけとなりうるだろうか。プレス向け内覧会でひと足先に体験してきた。


同日公開されたのはボーイング 777-200を改修した JAL SKY NEXT の初号機。クラス J シート~普通席エリアには、ブラックとレッドでコーディネートされた壮観な光景が広がる。

ものすごい高級感
ものすごい高級感

全面的に刷新された機内インテリアのうち、最大の特徴は全クラスで採用されている柔らかな本革のシートカバー。なめらかな革は滑りやすいという側面もあるが、普通席ではクッションの形状やステッチでしっかりとしたホールド感を実現したそうだ。

コンパクトな印象の普通席
コンパクトな印象の普通席

ホールド感を追求したクッションとステッチ
ホールド感を追求したクッションとステッチ

また、シートのスリム化により、座席数を減らすことなく足元スペースを現行座席から最大5cm拡大したという。

ダイエット成功
ダイエット成功

実際に着席してみたところ、体重を柔らかく受け止めてくれる本革の質感が心地よく、足元は前席とひざの間にいつもより余裕が感じられ、足も伸ばしやすかった。1時間程度であれば従来のシートと大差ないかもしれないが、2時間を超える長時間のフライトでは疲労感に差が出てくるように感じる。目的地到着後、すぐ業務にとりかかるビジネスパーソンにも良さそうだ。

下に手荷物を置いても快適そう
下に手荷物を置いても快適そう

中央が湾曲した形状のテーブルは身動きしやすい
中央が湾曲した形状のテーブルは身動きしやすい

クラス J の座席は、従前からのシートピッチ前後平均97cmを維持。隣席との間隔も余裕があり、ソファーでくつろいでいるかのようなゆったりとした座り心地だ。

ビジネスパーソンに好評のクラス J
ビジネスパーソンに好評のクラス J

見よ、このゆとり!
見よ、このゆとり!

前面には荷物ポケットとジャケットハンガーを装備
前面には荷物ポケットとジャケットハンガーを装備

テーブルは肘掛の中
テーブルは肘掛の中

頭から足の先までを委ねられるファーストクラスの座席は、もはやマッサージチェアのよう。人生で初めて体験した筆者も、座った瞬間に眠りに落ちてしまいそうだった。

こ、これがファーストクラスか…!
こ、これがファーストクラスか…!

ファーストクラスの郷土料理機内食(6月は高知県)
ファーストクラスの郷土料理機内食(6月は高知県)

また、機内では「空気のような照明」をコンセプトにした12色の LED 照明を採用。フライト中の時間や季節に応じた照明環境を演出し、くつろぎと日本らしさを提案するという。

左から「なつぞら(ブルー)」、「わかば(グリーン)」、「さくら(ピンク)」
左から「なつぞら(ブルー)」、「わかば(グリーン)」、「さくら(ピンク)」

さらに、7月下旬頃からは米国 gogo 社の衛星接続サービスを利用した国内線初の機内インターネットサービス「JAL SKY Wi-Fi」の提供も予定(有料)。飛行時間の短い国内線に合わせて、30分400円(税込)の時間制プランと、路線や機器に応じた使用時間制限なしのプランが用意される。

JAL SKY NEXT の導入は、東京(羽田)=福岡線の往復3便を皮切りに、機体の改修状況に合わせて順次北海道路線などにも拡大される。機種については、B777-300が8月、B767が9月、B737-800が10月の導入予定とのこと。

「ひとつ先のスタンダード」をテーマに実施された今回の仕様変更。座席をはじめ機内での“居心地の良さ”を追求した施策は、北九州を拠点とするスターフライヤーや6月にエアバスの A330型機を導入するスカイマークなど LCC でも活発だ。将来的にこのレベルがすべての航空会社でスタンダードとなってくれば、移動手段として航空機がさらに身近なものになると感じられた。

早く空で試したい!
早く空で試したい!