エンジニアの David Schwartz さんは、サドルの無い自転車「Flying Rider」を開発。そのプロトタイプを公開しました。


ロードバイク初心者にとって、サドルは悩みのタネ。「お尻が痛い!」という理由でロードを諦める人も、少数ながら存在します。でも、David Schwartz さんがサドルの無い自転車を開発した理由は、サイクリストのお尻を守るためではありませんでした。そうではなく、自転車のエネルギー効率をより高めるためだったのです。


サドルの無い自転車「Flying Rider」
サドルの無い自転車「Flying Rider」

Schwartz さんによれば、人がペダルを下向きに漕いでいるとき、そのエネルギーの一部は上方向に逃げているのだそう。このとき、搭乗者の背中を押してくれる何かがあれば、すべてのエネルギーをペダルに伝達できるはず。Schwartz さんはこう考えて、「Flying Rider」を開発したそうです。

「Flying Rider」は、エネルギー効率をより高める自転車
「Flying Rider」は、エネルギー効率をより高める自転車

たしかに、登坂時にペダルを強く踏み込むと、身体は浮いてしまいがち。でもそんなとき、「Flying Rider」に搭乗してれば、アーチ部分が身体の浮きを押さえてくれるため、すべてのパワーをペダルに伝えることができそうです。

「Flying Rider」のもう1つの特徴は、その搭乗姿勢。走行中にペダルから足を外して後ろに伸ばせば、飛んでいるような気分が味わえるのだとか。これが、「Flying Rider」という名前の由来だと、Schwartz さんは述べています。

走行中に足を伸ばせば、飛んでいる気分が味わえる?
走行中に足を伸ばせば、飛んでいる気分が味わえる?

サドルの無い自転車と言えば、2012年に「James Dyson Award」にエントリーされた自転車「FLIZ」が思い出されます。「FLIZ」はサドルだけでなく、ペダルもチェーンもない自転車でした。

サドルだけでなく、ペダルもチェーンもない自転車「FLIZ」
サドルだけでなく、ペダルもチェーンもない自転車「FLIZ」

「FLIZ」は残念ながら商品化されることなく消えていきました。では「Flying Rider」も消えていくのでしょうか?

「FLIZ」は商品化されることなく、消えていきました
「FLIZ」は商品化されることなく、消えていきました

そうはならない気がします。その根拠の1つは、「Flying Rider」のプロトタイプの完成度の高さ。「FLIZ」のプロトタイプは完成度が非常に低く、罰ゲームのレベルでした。一方、「Flying Rider」は、プロトタイプの段階ですでに実用レベルに達しています。ここだけを見ても、「Flying Rider」が商品化される可能性は、「FLIZ」よりは高いと言えるでしょう。

「FLIZ」のプロトタイプ  これは、公開しちゃだめでしょう…。
「FLIZ」のプロトタイプ
これは、公開しちゃだめでしょう…。

「Flying Rider」の実車は、今年9月に米国ラスベガスで開催される北米最大の自転車見本市「INTERBIKE 2014」に出展される予定です。