行き先を決めるのはだいたい前日、プランは現地での気分次第。20代女子による気ままなひとり旅の様子をお届けする、ゆるいコラムです。観光情報紙では得られない情報もあったりなかったり…?
今回は、11月後半の3連休、紅葉シーズン最盛期の京都嵐山に行って来ました。トロッコ列車から紅葉を見て、保津川下りに参加しようという計画。早朝の京都駅から旅は始まります。

7:00@JR 京都駅
まず嵯峨野トロッコ列車の指定席券を買うために、JR 京都駅のみどりの窓口へ向かいました。トロッコ列車は、嵯峨野~亀岡間7.3km を25分で結ぶ観光列車です。全席指定席で、観光シーズンは臨時列車も予約で埋まるほど大人気だといいます。
当日でも一人分くらいならねじ込めるだろうと思っていたのですが、「本日は上りも下りも全て満席です」といきなりノックアウト…。予約は JR 西日本のみどりの窓口や各旅行代理店で受け付けているそうなので、どうしても指定席が取りたい場合はやはり予約したほうが良さそうです。トロッコ列車でトロッコ亀岡駅まで向かい、川下りをしながら嵐山へ戻るというルートを予定していたので、当日券でも…と思い時刻表を見てみると、上りの始発は9時07分、保津川下りの営業開始は9時。ちょっと迷ったけれど、トロッコ列車はあきらめて直接保津川下りへ向かうことにしました。
保津川下りの乗船場は、JR 亀岡駅が最寄り駅。JR 京都駅から電車で向かいます。

ときどき通過するトロッコの線路を恨めしく眺めているうちに霧が出てきて、亀岡駅に下りたときには辺りは真っ白!
7:30@JR 亀岡駅
9時の出航まで1時間ほどあったので、朝食が食べられるお店を探すことに。しかし見つからず、駅から10分弱歩いたところにあるコンビニのイートインコーナーで30分ほど時間をつぶしました。
乗船場へは、駅から徒歩10分くらい。公式 Web サイトに写真付きで掲載されている道案内を見ながら行こうとしたところ、霧が濃すぎてせっかくの写真が役に立ちません。道が合っているかドキドキしながら歩くこと5分と少し。霧の中から「○○番の方、乗船場へ起こし下さい~」というちょっとなまったアナウンスが聞こえてきました。あれ?営業開始って9時じゃ…?

霧の中から現れた社屋(右)
8:30@保津川下り乗船場
乗船場に到着したのは8時30分頃。すでに駐車場は半分くらい埋まっていて、待合室にも多くのお客さんがいました。なんと、早い人は6時30分頃には来ていたそうです。スタッフに尋ねると、この日は8時過ぎから営業していたそう。Twitter などで情報を流してくれたら助かるのに…と思いつつも、「朝は船頭もようけおるから待ち時間無いよ」との言葉にホッと一息。受付を済ませて番号が呼ばれるのを待ちます。
待合室には、自動販売機はもちろん、あたたかい肉まんや三色団子が販売されていたり、そばを販売するカウンターがあったり(朝は営業していませんでした)とにぎわっていました。ここで購入したものを船に持ち込んでもいいそうです。
8:40@出航!
船に乗り込んで腰に救命胴衣を巻き、およそ1時間40分の旅へ出発します。スタッフは、舵を取る船頭さん2人と漕ぎ手が1人。よろしくお願いします!

出発してからしばらくは、比較的平坦な流れが続きます。霧のおかげでやっぱり異世界へ連れて行かれる気分です。紅葉もあまり見えないだろうなと思っていたら、なんてことはない。山あいに入ったところでがつんと裏切られました。霧を照らす朝日と紅葉がとんでもなく幻想的で、美しいのです。半分ほど川を下ると霧は晴れてしまったのですが、ゆっくり進む船のスピードに反してすっと後ろへ流れていく霧を抜けるときには、えも言われぬ寂しさを覚えました。

道中では、ちょっとした急流に歓声をあげたり、橋の上にある JR 保津峡駅に居る人たちへ手を振ったり、船のへりを器用に渡る船頭さんの交代に拍手を送ったり、満席のトロッコ列車を見上げたり、紅葉の下で篠笛を吹いてる女性(保津川下りの演出ではありません)に驚いたりと、紅葉以外にも楽しめるイベントがたくさんありました。

船旅の終盤には、イカ焼きや団子、甘酒などを販売する船がつつーっと寄って来ます。うまい商売だなとは思いながらも、ちょうどコバラが空いてくる時間。焼きたてのイカ焼きを頂きました。

ほどなくして、嵐山公園と渡月橋の中間あたりに船は着岸。異世界へ連れていかれることもなく、無事嵐山に到着しました。
10:20@渡月橋
船着場から渡月橋へ向かう道には、人人人人人…。飲食店の前には、どこもすでに行列ができています。さすが、世界の観光地ランキングで上位に入るだけあります。

10:30@うなぎ「廣川」
さて、ほかの店の行列に焦ったので、まだ早い気もしますが、ランチにと目をつけていたうなぎ「廣川」の様子を見に行くことに。すると、開店1時間前にも関わらず50人ほどが並んでいました。1回でどれほどの人数が入れるのかは分かりませんが、並んでおいた方が良さそうです。
11時過ぎには、少し早めですがお店を開けて下さいました。しかし結局入店できたのは1時間30分後の12時30分すぎ。静謐(せいひつ)な庭に面した席へと案内されます。
ようやく対面できたうなぎは、程よく肉厚だけど柔らかすぎず、カリッと焼き上げられた表面との食感のバランスが絶妙でした。一度蒸してから焼き上げる関東の焼き方を汲んでいるそうですが、東京で食べる蒲焼よりも甘くありません。筆者が注文した「うな重定食」(3,900円)には、うな重に加えて、「鯉の洗い」「うざく」「吸いもの」「漬物」がセットになっています。もちろん、単品の「うな重」や「うなぎ丼」などもあり、吸いものとあわせて楽しんでいる人も多く見かけました。

お客さんは、日本人よりも韓国や中国からの観光客が目立ちます。日本の旅行雑誌にはあまり掲載されていないのですが、海外では紹介されているのかもしれません。なお、ランチタイムの営業時間は14時30分までですが、12時前には、これ以上行列が伸びないように“営業終了”の紙が張り出されました。どうしても食べたければ、やはり開店前から並んだ方が良さそうです。なお、2階席は予約もできるとのこと。
13:30@天龍寺
まだ入店できていない人に「がんばって」と心の中でエールを送り、目の前にある天龍寺へ行くことにしました。午後になってお客さんも増えてきたようで、ここでも入場券売場の前に行列ができていました。真っ赤に色づいた前庭では、たくさんの人が写真を撮っています。よく見ると、あっちにもこっちにも“自撮り棒”。テレビ番組で「自撮り狩り」なんて言葉が紹介されていたことを思い出しました。
庭園の紅葉もちょうど見ごろを迎えていました。冬の静かな庭園もいいですが、木々の息遣いが聞こえてきそうな鮮やかな庭園も趣があります。「紅葉より人の方が多いのでは」なんて思ってしまうほど観光客が多かったけれど、行く価値はあるのでは。

15:00@渡月橋
天龍寺を出たのは15時前。「お茶の時間」だ!と、桂川を眺めながら抹茶スイーツを食べるべく渡月橋付近に戻ってきたのですが、案の定どの店も長蛇の列。早々に断念し、京都駅に戻ってイノダコーヒーに行ってみることにしました。

もはやどれが行列か分かりません
16:30@イノダコーヒー本店
イノダコーヒーは、「京都の朝は、イノダコーヒーの香りから」をキャッチコピーに、京都を中心に展開されている喫茶店です。コピーどおり朝食も人気ですが、コーヒーにミルクと砂糖を入れて提供される独自のスタイルも注目ポイント。せっかく時間ができたので、本店に行ってみることにしました。
本店は、地下鉄烏丸御池駅から徒歩5分ほどのところにあります。16時30分という中途半端な時間だったのに、ここでも5人ほど待っている人が。地元の方によると、やはり普段は並ぶほどに混むことは少ないそう。
店内は1階と2階あわせて205席と広く、シックで重厚感にあふれています。オシャレカフェもいいけれど、たまには歴史を感じる店内で飲むコーヒーもいいかも。コーヒー「アラビアの真珠」を注文して、まったりと30分ほど過ごしました。

18:00@阪急河原町駅
ウインドウショッピングを楽しみながら阪急河原町駅まで歩き、今回の旅はおしまい。さすがシーズン最盛期の京都、移動距離以上にクタクタになりました。
【ポイント】
・どうしてもトロッコ列車に乗りたければ、予約するべし(当日券もチャンスあり?)
・保津川下りで霧が出ていたらラッキーかも
・嵐山でのランチは開店前から行列覚悟で
【かかった費用】
保津川下り:4,100円
ランチ:3,900円
天龍寺参拝料:500円
コーヒー:515円
電車代:860円
計:9,875円