
「Espresso」は、交通渋滞の激しい台北市の自動車利用者を、自転車利用者に転換することを目的に製作されたシティサイクル。欧米人向けにデザインされた既存の自転車の構造を根本的に見直し、道が狭く、人が多く、雨が多いアジアの気候・土地に合わせて一から設計された。

ホイールには台北市の狭くて混雑した道を走りやすい小径(20インチ)のものを採用。フロントには買い物に便利なカゴを装備し、タイヤやチェーンには、雨が降っても足や背中が汚れないよう泥よけとチェーンカバーが取り付けられた。

チェーンカバーは女性がスカートで乗車した際に、裾が後輪に巻き込まれるのを防ぐ役割も果たす。スタンドは、車体が直立する両足スタンド。買い物などを載せ下ろしする際に、安定感を発揮する。

こうして、3年という長い月日をかけて一から設計され、欧米人が“斬新”だと驚いたという「Espresso」のデザインは、日本の「ママチャリ」に良く似たものとなった。

アジアの都市における街乗り自転車を真面目にデザインすると、このような外観になるという事実は、とても興味深いものだと感じる。

とはいうものの、日本のママチャリのデザインは20世紀になされたもので、現在の完成形に達して以降は、進化を止めてしまっている。その点、「Espresso」のデザインは21世紀になされたものだ。ママチャリと比べると、優れている部分も多い。 Gearlab には是非、「Espresso」を日本でも販売して欲しい。

「Espresso」は、Golden Pin Design Awards でベストデザイン賞を受賞している。