秋田県の由利高原鉄道で、ひな祭り仕様のイベント列車「おひなっこ列車」が今年も運行を開始する。沿線イベント「由利本荘ひな街道」に合わせたもの。地元の民芸品でデコレーションした賑やかな列車の中にいると、わくわくした気持ちを味わえそうだ。

ひな祭り仕様の列車内
ひな祭り仕様の列車内

このイベント列車では、車内を沿線、由利本荘市の民芸品「御殿毬(ごてんまり)」や矢島町のひな祭りで見られる「矢島柳飾(やじまやなぎかざり)」などで飾り立てる。


運行期間は3月14日~22日で、各日9時53分に矢島駅を出発し、10時34分に羽後本荘駅に到着。その後10時46分に同駅を出て、11時25分に矢島駅へ帰着する。アテンダントが乗務する「まごころ列車」の時間帯になる。

運行期間中、車内での特別なイベントはないが、3月14日には列車の帰着に合わせて矢島駅でセレモニーがあるそう。なお、予約は受け付けておらず、土日は混み合って座席に座れない場合があるとか。

セレモニー
セレモニー

さて、おひなっこ列車と一緒に楽しめるイベント、由利本荘ひな街道はどのような内容かというと、地元の歴史あるひな人形など、約1,000体を地元の資料館や美術館、各家々などで展示、公開する催しだ。

「大井家住宅」矢島町舘町
「大井家住宅」矢島町舘町

「小番家」矢島郷土資料館
「小番家」矢島郷土資料館

なぜ、由利高原鉄道沿線にこれほどたくさんのひな人形があるかを知るには、少し歴史を振り返る必要がある。

由利本荘市には江戸時代、本荘藩、亀田藩、矢島藩という3つの小さな藩があり、それぞれ城下町が発展していた。

(画像出展:由利本庄市観光協会)
(画像出展:由利本庄市観光協会)

本荘藩の古雪港と対岸の亀田藩の石脇港は、「北前船」が寄港する河口港として栄え、近くは酒田、遠くは上方とも交易し、さまざまな物資と人が行き交っていた。おかげで当時の武家、商家に「享保雛」「古今雛」「芥子雛」などが伝わり、今になっても数多く残っているのだそう。