いよいよ迫る北陸新幹線の長野~金沢駅区間開業。主要駅では、それぞれ趣向をこらした歓迎の取り組みを進めているが、一方でお隣、JR 福井駅も準備に余念はない。「恐竜王国」の名に恥じぬよう、駅前広場から駅構内のベンチまで恐竜づくめのデザインを採用している。

「来いよ、北陸新幹線」
「来いよ、北陸新幹線」

福井県の特産といえば何を想像するだろうか。越前ガニ、それともソースかつ丼か。しかし同県が今大きく力を入れている特産は、ずばり「恐竜」である。県内ではさかのぼれば1989年から恐竜化石調査が実施され、フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタンと発見された独自の恐竜化石は幾多。2000年には県立の恐竜博物館も開館している。


今回は福井県では恐竜王国ぶりを見せつけるべく、JR 西日本とも協力して福井駅前に巨大な恐竜のモニュメントを建立。3月に一般公開するや、たちまち地元の利用者を呆然とさせた。驚きの声とともに、Twitter や Facebook に写真投稿が相次ぎ、今やインターネット上でも高い注目を集めている。

モニュメントの威容はそれだけで目を引くが、展示内容について少し詳しく知っておいた方がもっと面白いだろう。JR 福井駅西口 にあるモニュメントは、実際に白亜紀前期に福井県に生息していたフクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタンの3体。いずれも化石をもとに忠実に復元した実物大で、時間になると実際に動き出す。

左からフクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン。  手前のベンチに座っているのはイメージキャラクターのラプト君
左からフクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン。
手前のベンチに座っているのはイメージキャラクターのラプト君

フクイラプトルは、獰猛な大型肉食恐竜アロサウルスに近いと考えられており、全長 4.2m。またフクイサウルスは、2本足の草食恐竜で全長 4.7m、イグアノドンに近いと考えられている。フクイティタンは4本足の大型草食恐竜で約 10m。このサイズの爬虫(はちゅう)類がかつて日本をのし歩いていたと想像するとなんとなく身震いがしそうだ。

これらのモニュメントは、9時~21時のあいだ30分ごとに1日25回の特別演出がある。また18時~22時までライトアップも楽しめる。

JR 福井駅西口側の壁面には、巨大な恐竜イラストのラッピングが描いてあり、下部には、恐竜が壁面から飛び出してくるように見えるトリックアートのパネルもある。うち1面は、フクイラプトル、フクイサウルスをイメージしている。

とてもお腹を空かせていそうなフクイラプトルさんのトリックアート
とてもお腹を空かせていそうなフクイラプトルさんのトリックアート

さらに JR 駅構内の「ダイノベンチ」には恐竜博物館のキャラクターである「恐竜博士」が座っている。非常にリアルな顔立ちの恐竜人(ダイノサウロイド)で、通りがかるとちょっとぎょっとするが、よく見ると親しげな雰囲気でもある。電車を待つあいだ一緒に過ごすにはよい相手かもしれない。

恐竜博士です
恐竜博士です

ちなみに恐竜博物館は恐竜博士を強く推しており、JR 福井駅以外にも県内あちこちでベンチに腰掛けている姿を見られる。余談だが、彼が登場するオリジナルアニメも制作されている。

ともかく将来の北陸新幹線金沢~敦賀駅区間開業に向け、福井駅の準備は万端というところ。あるいは今からでも、金沢を訪れるついでに足を運ぶのも悪くないかもしれない。