香川県の高松空港。その搭乗口そばにある「手書きのプリント」がインターネット上で関心を集めている。日本航空(JAL)の航空整備士がマニアックな航空機の知識を挿絵付きで丁寧に解説しているのだが、暖かみのある雰囲気で、乗客はつい興味を引かれて読んでしまうという。

実は15号まで出てます(写真提供:日本航空)
実は15号まで出てます(写真提供:日本航空)

この手書きのプリント、実はすでに15号まで出ている。各号で航空機の胴体から翼、内部のシステムまで、構造や仕組みを図解しながら詳しく語っており、題名も「航空整備士のかなりマニアックな飛行機豆知識」とある。高松空港の旅客搭乗橋通路に、乗客が自由に手に取れるよう専用ラックを設置してあるそう。

5月には乗客の1人が写真を撮影し、Twitter に投稿してちょっとした話題を呼んだ。「以前に高松空港を利用した際に読みふけった」「デジタルデータ化して配信してほしい」とさまざまな感想や意見が出ている。

それにしても、今時手書きのプリントというのは珍しい気がする。いったいいつから、どうしてこんな取り組みをしているのか、JAL に聞いてみたところ、詳しく事情を話してくれた。

■きっかけは、乗客の不思議そうな顔

高松空港の整備士さんが手書きのプリントを作るようになったのは2011年。きっかけは、プライベートで航空機に乗っている時。機内でのちょっとしたできごとに、乗客が驚いているようすを目にしてからという。

ちょうど航空機が駐機場から押し出されているタイミングで、客席上部にあるエアコンの冷気吹き出し口からの送風が止まっているのを、乗客が不思議そうに確かめているのを、幾度となく見かけたそう。

実はこのエアコンは、システムの仕組み上、エンジンスタート中は止まるもの。もしこうした情報について、分かりやすい解説が有れば、乗客に「なるほど」と納得してもらえ、空の旅をより楽しんでもらえるのではないか、と思いついた。

■お金をかけず形にしよう

ところが当時、JAL は経営再建の最中。とにかく「お金をかけずに形にしよう」と決め、自分だけでできる手書きの解説を選んだ。

記念すべき第1号は「エアコン編」(写真提供:日本航空)
記念すべき第1号は「エアコン編」(写真提供:日本航空)

以前、航空機の解説をポスター形式で壁に張ったものを見たことがあったが、それでは何となく眺めるだけで記憶に残らないと判断し、手に取って機内でじっくり読めるプリント形式にした。

取り上げる話題は、航空機に乗っていて目に見えるもの、耳に聞こえるもの、体で感じられるもの、想像できるもの、何となく知られてはいるけれども良く分からなそうなものなどだ。

内容は万人向けにはならなくても詳しい方が、飛行機好きには楽しんでもらえるのではないかと、「かなりマニアック」なレベルに設定したそう。

また書店に並ぶ航空機に関する本には、正確ではない記述もしばしば見られるので、プリントではできるだけ正確に、かつ分かりやすく、と心掛けているのだとか。

内容も、誕生のいきさつも、とてもユニークな手書きプリント。高松空港を利用する機会があれば是非ともチェックしたいものである。