
マンボウII の名はすでにテレビや新聞で見聞きした人も多いだろう。実は海上保安庁ではドローンや無人艇(UMV)という言葉が一般に広まる前から、こうした無人航行のできる測量艇をいくつも運用している。
初代マンボウは「自走式航行ブイ」と呼ばれ、海上保安庁で最初に導入した無人調査のできる機器だった。ブイというと海の標識などのためぷかぷか浮いているものを想像するが、マンボウはまるで船のような姿だ。


マンボウIIはその後継と言える特殊搭載艇。全長10m、総トン数は5トン。海底の地形を探る「マルチビーム測深機」、水質を調べるための「自動採水装置」、水温を測るための「投下式水温計」などを備え、測量船「昭洋」に積み込まれている。


マンボウIIが火山を探るために使われるのは今回が初めてではない。例えば今から10年前の2005年、小笠原諸島の南硫黄島から6km離れた海底火山「福徳岡ノ場」が噴火した際にも投入され、海中に深さ30~40m、直径200mで盛んにガスを噴き出す火口を2つ発見している。

ちなみに海上保安庁はマンボウIIのほかにも、無人で航行できる「じんべえ」を保有している。測量船「拓洋」が搭載しており、やはり海底地形の調査などに利用されている。

こうして振り返ると、意外なほど古い歴史と実績がある海での無人航行。自律制御技術が急速に普及しつつある今後は、果たしてどのような装備が登場するのか、興味をそそられるところだ。