MITが人工重力発生装置を開発中  なんと、足こぎ式!
MITが人工重力発生装置を開発中
なんと、足こぎ式!

国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在していると筋肉が衰え、骨からはカルシウムが溶け出してしまう。これは骨折の可能性が高まるだけでなく、溶けだしたカルシウムにより尿管結石を引き起こすことがあるため、ISS滞在では特に危険だ。世界中の科学者が宇宙飛行士の健康リスクを低減するために人工重力発生装置を開発しているが、実現には課題が多く、現行のISSには実装されていない。

この形状のものを回転させるのは難しい?
この形状のものを回転させるのは難しい?

米国マサチューセッツ工科大学(MIT)は宇宙飛行士の健康リスクを軽減する人工重力発生装置のプロトタイプを製作。12人の被験者によるテストを実施し、その結果を国際宇宙航行アカデミーが刊行するActa Astronauticaジャーナルに発表した。この人工重力発生装置は、なんと足でペダルを漕ぐことで重力を発生させている。

人工重力発生装置概念図(側面)
人工重力発生装置概念図(側面)

MITの開発した人工重力発生装置は直径わずか3メートルほどの小型なもの。このため、現行のISS内に設置可能だ。この重力発生装置のポイントは、ISS全体で重力を発生させるわけではないこと。そうではなく、装置の内部にいる人にだけ、重力がかかる仕組みになっている。

バケツに水を入れて、ぐるんぐるん回すと遠心力で水が落ちてこない  …の応用
バケツに水を入れて、ぐるんぐるん回すと遠心力で水が落ちてこない
…の応用

通常、ISS内で生活する宇宙飛行士は、健康を維持するために1日2時間程度のエクササイズをしており、それにはエアロバイクも含まれている。MITの開発した人工重力発生装置はこのエアロバイクを活用するもの。宇宙飛行士がエアロバイクを漕ぐ際のパワーを利用して装置を回転させ、疑似的に重力を発生させるのだ。MITのAna Diaz氏は次のように説明している。

「装置が回転すると、その遠心力で疑似的な重力が発生する。回転速度が速ければ速いほど、発生する重力も強くなる」

Diaz氏によれば、1分間に28回転することで地上と同じ1G程度が、32回転で1.4Gを発生させることが可能だという。

この装置は、無重力空間で身体が宙に浮いてしまったり、水が球体になってしまったり、トイレにバキューム装置が必要だったりといった問題を解決するものではない。だが1G環境でエクササイズすることで、宇宙飛行士の心臓血管機能などは高まり、健康リスクを低減する効果は期待できると、MITの調査はまとめている。

人工重力発生装置を試すスウェーデンの宇宙飛行士クリステル・フォーグレサング氏  (写真右はMIT教授のLaurence Young氏)
人工重力発生装置を試すスウェーデンの宇宙飛行士クリステル・フォーグレサング氏
(写真右はMIT教授のLaurence Young氏)

MITはまた、人工重力発生装置は、片道3年程度かかってしまう火星の有人探査でも有効であるとしている。