通勤で電動アシスト自転車に乗ると、ちょっと物足りなくなることがある。車道では時速25キロ以上で走行していることが多いが、この速度域ではモーターのアシストがまったく効かないのだ。漕ぎ出しのときに感じる、後ろからグッと押されている感じが気持ち良いだけに、高速域でそれが消えてしまうと寂しくて仕方がない。「できれば、あの快感をずっと味わっていたい」。そう思っている人は意外と多いはず。特に、昔はバイクに乗っていたという人には。
米国ニューヨークのSharerollerは、自転車を電動バイクに変えるコンバージョンキットの最新版「ShareRoller V3」を開発した。筆者は密かにこのバージョンを「力と技のV3」と呼んでいる。これを愛車に取り付ければ、いつまでも快感を味わいながら走り続けることが可能だ。
「力と技」を併せ持つ?
「ShareRoller」はもともと、バイクシェアプログラムのために開発されたもの。スーツケースのような形状で、自転車の前輪に取り付け、直接タイヤに動力を伝達して前進する仕組みだ。「ShareRoller」を取り付けると、自転車は電動アシストではなく電動バイクとなり、ペダルを漕がなくても時速29キロで走行可能となる。
ニューヨークのシェアサイクル向けに開発された
今回開発された「ShareRoller V3」では、シェアサイクルだけでなく様々な自転車に装着可能な“マウントシステム”という「技(わざ)」が追加された。あらかじめマウントを取り付けておけば、必要に応じて自転車を一瞬で電動バイクにできる。
最高速度は時速45キロにアップ。トレーラーを引きながら走行できる「力」をも備えた。航続可能距離はバッテリーのもっとも小さな「mini」バージョンで最大24キロ、「standard」で最大48キロ、そして「Ultra」で最大88キロとパワフル。
「ShareRoller V3」にはもう1つ特徴がある。それは、自転車だけでなく、キックスクーターにも装着可能なこと。欧米ではキックスクーターで通勤する人も多いが、そのような人にとってはこれはうれしい新機能だろう。キックスクーターは登り坂に弱いが、「ShareRoller V3」を装着すれば楽に上れるそうだ。
そして坂を上れる「力」!
出荷は2016年の5月を予定。市販価格は1,100ドルを予定している。
さて、「ShareRoller V3」を装着した自転車は日本では、原付自転車扱いとなるだろう。公道を走行するには灯火器類やミラーの取り付け、ナンバーの取得、ヘルメットの装着、自賠責保険への加入などが義務付けられる。「ShareRoller V3」には「電動アシストモード」もあるので、これ以外のモードを使用不可にした日本版を扱う代理店の登場を待ちたい。