英国ロンドンの住宅事情は厳しい
英国ロンドンの住宅事情は厳しい

英国ロンドンの住宅事情は厳しい。フラット(アパート)にはエレベーターがついておらず、部屋も狭いことが多いのだ。そのロンドンの住人が自転車通勤をする場合、自転車をかついで階段を上り、狭い部屋に自転車を収納しなければならない。

そのようなシチュエーションでは折り畳み自転車が適しているように思える。だが実際、自転車をかついで階段を上る際には、折り畳み機能は不要だ。また、狭い部屋に自転車を収納する場合、折り畳んだ結果厚みがましてかさ張ってしまうものよりも、サイズ自体が小さく構造がシンプルな自転車の方が便利だ。


フラットの出入り口も狭い!
フラットの出入り口も狭い!

「Alpini」は、このようなロンドンの住宅事情に合わせてデザインされた自転車。だが日本の都市生活者にもぴったりの一台でもある。“5階建てだけどエレベーターが無い”アパート/マンションは日本では少ないが、部屋は狭いことが多いからだ。また都市部の走行では、自転車をかついで歩道橋などをのぼらざるを得ないシーンにもよく出くわす。

ロンドンの住宅事情に合わせてデザインされた「Alpini」  でも、日本にもぴったり?
ロンドンの住宅事情に合わせてデザインされた「Alpini」
でも、日本にもぴったり?

「Alpini」は、大人が乗れる自転車でありながら、サイズを可能な限り小さく設計することを目指した一台。例えば、トップチューブの長さは短く、シートポストのトップの位置も低目に設定された。開発元によれば、シートをあげれば身長180センチの男性でも十分乗れるそうだが、走行動画を見る限りは、大柄な男性は若干窮屈なポジションを強いられているように見える。シンプルな構造を維持するために変速機なども搭載されていないので、坂の多い街で毎日通勤に使うのは、ちょっとしんどいかもしれない。

大柄な男性が乗ると、膝がハンドルに当たりそうになる
大柄な男性が乗ると、膝がハンドルに当たりそうになる

だが、このディメンションを取ることで、重さ9キロを実現した。全長をコンパクトにしたことで小回りが利くようになった上、肩にかついだときの安定感も高まり、階段を上るのがより快適になったという。

サイズが小さくなったことで、踊り場の狭い階段も上りやすくなった
サイズが小さくなったことで、踊り場の狭い階段も上りやすくなった

全長などが短く、シンプルなデザインのため、室内への収納も容易。そう「Alpini」は、運びやすさと室内への収納性の高さを優先した自転車なのだ。

室内保管も容易
室内保管も容易

でもなぜそうまでして室内収納にこだわったのか?開発者のSofia Gradoniさんによれば、彼女とそのチームは屋外に自転車を駐輪した結果、1か月の間に2台の自転車を盗まれた経験があるのだそう。その対策として、この自転車を開発したそうだ。

ひと月の間に2台って…。
ひと月の間に2台って…。

確かに、自転車を盗まれる哀しみを思えば、多少ライディングポジションが窮屈なくらいは我慢できる気がする。

また、「Alpini」は(英国で販売される自転車にしては)価格が手頃なのも大きな魅力。中間マージンを一切排除し、ネット直販とすることで手を出しやすい価格を実現したという。これも、自転車を盗まれてしまったときの哀しみを少しでも和らげるための措置の一つだそうだ。

ネット直販で価格も手ごろに
ネット直販で価格も手ごろに

バリエーションは、伝統的な英国の雰囲気を持つ「Curzon」、大胆なカラーリングの「Tufnell」、ダークチャコールを身にまとった「Finch」の3種類。価格は「Curzon」が450英ポンド(日本への送料199英ポンド)で、「Tufnell」「Finch」が395英ポンド(同140英ポンド)。

伝統的な英国の雰囲気を持つ「Curzon」
伝統的な英国の雰囲気を持つ「Curzon」

大胆なカラーリングの「Tufnell」
大胆なカラーリングの「Tufnell」

ダークチャコールを身にまとった「Finch」
ダークチャコールを身にまとった「Finch」

送料が高いので、日本からは手を出しにくくなっているが、ロンドン在住であれば手にしたい一台だ。