19世紀の初頭、オランダには30を超える自転車メーカーが存在し、年間2万台を超える自転車を製造していたそうです。でも現在では、すべてのメーカーが工場を東南アジアに移設。オランダ本国で製造される自転車はほとんどなくなったのだとか。

「MOKUMONO」は、自転車工場をオランダに呼び戻すプロジェクト。アムステルダム在住のBob Schillerさんが中心になって進められています。


Schillerさんは、自動車産業がいまも欧州での生産を続けていることに注目。それが可能な理由は、オートメーション導入による人件費の削減にあると考えました。


この手法を自転車の製造にも導入するのが「MOKUMONO」の基本的な考え方。自転車フレームの製造をオートメーション化して人件費を削減し、オランダ国内での自転車製造を可能にする。これが、プロジェクトチームの目指していることです。


オランダ国内で生産することで、すべての製造ステップをSchillerさんたちがモニター可能になり、品質を向上できます。また、製造ラインになんらかの問題が発見された場合でも、速やかに対応できるようになります。


東南アジア工場で製造して船でオランダに運ぶという現在のプロセスと比較すると、注文を受けてから顧客に納品するまでの期間を大幅に短縮できるというメリットも。


「MOKUMONO」のフレームの特徴は、2枚のアルミ板を利用している点にあります。それらをプレス加工して成型した後に、レーザーを使って溶接。この構造により、軽量でありながら強靭なフレームを可能にしました。また、職人の手によるフレーム製造に比較して、製造期間の大幅な短縮も実現しています。


フレーム以外では、標準的な自転車用パーツを採用。例えば、ドライブトレインにはゲイツのカーボンドライブベルトが、制動装置にはシマノ105油圧ディスクブレーキが搭載されました。



シングルスピード版と8段変速機搭載版が用意されており、重さはシングルスピードが9.5キロ。8段変速機付きでも11キロと、軽量化を実現しています。


8段変速タイプには、シマノのALFINE内装変速機が採用されました。


デザインにも一工夫。例えばケーブル類は、フレーム内部を通しています。これにより、外観がすっきりすると同時に、ケーブル自体も長持ちするのだとか。


「MOKUMONO」に欠点があるとすれば、オートメーション化したことで、現時点で対応できるフレームサイズが1種類のみになったという点でしょう。初回は、身長170センチから190センチまでに対応したフレームのみが製造されます。今後、「MOKUMONO」の売れ行きが好調であれば、様々なサイズも用意できるようになる見込みなのだとか。


Schillerさんは現在、「MOKUMONO」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを展開中。本稿執筆時点では、シングルスピードは1,150ユーロ、8段変速機付きは1,400ユーロの出資で入手可能となっています。日本へも配送可能。配送料は200ユーロだそうです。


自転車フレームを東南アジアではなく、自国で作りたい!という、自転車王国オランダならではの意地を感じるこのプロジェクト。でもブレーキもドライブトレインも、そしてクランクも日本製。そこにこだわりはないのかと、少しだけ疑問の残るプロジェクトでもあります。