Roland Gumpertはジュネーブモーターショーで「Nathalie Race」を世界初披露しました。同社の公道仕様車「Nathalie」をレース用車両に改造したものです。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
Roland Gumpert「Nathalie Race」(レース仕様車)

オリジナルの「Nathalie」にエアロパーツを装備し、「Nathalie」の豪華なインテリアを軽量なレース仕様に交換し、さらにサスペンション、ブレーキ、冷却システムなどを強化したモデル。これらの変更により0-100km/h加速で2秒を実現したそうです。


3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
「Nathalie」にエアロパーツを装備

Roland Gumpertは「Nathalie Race」によって電動GTカーによるレースシリーズ「EPCS」などに2020年シーズンから参加し、「Nathalie」の名前を世に知らしめたいとしています。

でも筆者が興味を持ったのは今回初公開された「Nathalie Race」ではなく、昨年公開されたオリジナルの「Nathalie」。「Nathalie」は(「Nathalie Race」もですが)なんと、メタノールを燃料にして走る燃料電池車なのです。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
オリジナル「Nathalie」

ガソリン車に代わる“エコカー”としては、電気自動車(EV)、PHEV、水素で走るFCVなどいくつかの種類があります。でもこれらにはそれぞれデメリットも存在しています。

Roland Gumpertは、そのデメリットの多くをほぼ解消できる新たな選択肢としてメタノール燃料電池車を「Nathalie」によって提案しています。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
「Nathalie」ボンネット下に装備されたメタノール燃料電池車

メタノールの価格はガソリンのわずか3分の1と、安価で手に入ります。電気自動車(EV)では充電時間が長いのがデメリットですが、メタノールであればわずか3分でチャージが完了します。水素を使ったFCVでも短い時間でのチャージが可能ですが、水素は扱いが難しいのが難点。その点、液体であるメタノールは取り扱いが易しいのだとか。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
「Nathalie」インテリア

「Nathalie」はこのメタノール燃料電池車の恩恵を受け、3分チャージで850キロもの長距離走行を実現したそうです(時速80キロで走行した場合)。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
助手席側から見たインテリア

「エコカーは環境に良いのだから、走行性能には目を瞑るべき」。そのような風潮にもRoland Gumpertは反旗を翻します。「Nathalie」に搭載されたモーターは最高出力600kW(800PS)を発揮。0-100km/h加速では2.5秒以下を達成しています。最高速度は時速305キロを実現しました。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」
0-100km/h加速は2.5秒以下

「メタノールステーションを普及させられるか?」「本当に環境に良いのか?」など、いくつか疑問が湧いてはきますが、それでも新しいテクノロジーがでてくるのはワクワクしますね。

3分チャージで850キロ走れるRoland Gumpert「Nathalie」

「Nathalie」の走行の様子については、次の動画を視聴してください。