「Tuscon」は、カスタムビルドされたワンオフのキャンピングトレーラー。米国コロラド州デュランゴに本拠をおくタイニーハウス製造メーカーRocky Mountain Tiny Housesが顧客からの依頼に応じて製作したものです。

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
寒い季節は南に住みたいというな願いを叶えるキャンピングトレーラー「Tuscon」

依頼者は普段はニューヨーク州北部/バーモント州周辺の寒い地域に住んでいます。でも、雪の積もる季節には暖かいアリゾナ州で過ごしたいのだそう。そこで、ニューヨークとアリゾナを頻繁に行き来するギアとしてこのキャンピングカーの製作を依頼したそうです。


暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
気持ちはとてもよくわかります

「Tuscon」は、「年に何度か、近くのオートキャンプ場に宿泊する」ための一般的なキャンピングカーとは異なり、「ニューヨーク州とアリゾナ州の間、約3,800キロを何度も往復する」ための乗り物。長距離ドライブでドライバーが疲れてしまわないよう、軽量に仕上げる必要がありました。また、高速道路を40時間近く続けて走行するので、高い剛性も求められます。

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
参考画像:ニューヨーク州からアリゾナ州までの約3,800キロ
アメリカ大陸をほぼ横断しちゃってます
ちなみに、北海道から九州までは約2,500キロです

これらの要求を満たすため、Rocky Mountain Tiny Housesは軽量でありながら剛性の高い素材を調査するところから開発をスタートさせたそうです。

キャンピングトレーラーとしての形態は、ピックアップトラックの荷台の上にトレーラーの一部が覆いかぶさる“グースネック”。運転が楽になるだけでなく、トレーラー内部のスペースを広く取れるというメリットがあります。

通常、グースネック部分はベッドスペースとされることが多いのですが、「Tuscon」では収納エリアとされました。ここには3台の自転車が搭載されています。

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
普通はベッドルームですよね

依頼者の要望はまだまだ続きます。インテリアで依頼者がもっともこだわったのがキッチン。料理が好きという依頼者は銅製シンクの設置を要求しました。銅は雑菌やカビの繁殖を抑える効果が期待できるので、水回りの素材にぴったり。でもこの要望が、「Tuscon」の価格を跳ね上げることになりました。

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銅製シンク
お値段はかなりお高めだそうです

キッチンには冷蔵庫も設置されています。この冷蔵庫に給電するのはルーフと側面に設置された4枚のソーラーパネル。合計で最大1,440Wもの発電量をもつソーラーシステムとバッテリーの組み合わせは、曇りの日であっても、キャンピングトレーラー内で消費する電力すべてをまかなえるのだとか。

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
キャンピングカーにしては大きめの冷蔵庫
本当に料理が好きなんでしょうね

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
「Tuscon」の電力をまかなうソーラーパネル
ルーフにも設置されています

依頼者はネコを2匹飼っています。このネコたちも寒い時期にはアリゾナに移住。移動中にネコが退屈しないように、室内にはキャットツリーが設置されました。

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
「アリゾナは暖かいニャ」

外装はかなりユニーク。片側は緑、反対側はピンクに塗装されています。緑は、バーモント州周辺の深い森に馴染む色として。そして、ピンクはアリゾナ州の砂漠で映える色として選ばれました。

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日本人だと思いつかない配色です

価格は9万3,000ドル。もしソーラーパネルが不要であれば8万1,000ドル程度となるそう。銅製シンクを諦め、キャットツリーを設置しなければ、あと5,000~1万5,000ドル程度は安く仕上がるそうです。

暑い時期には北で、寒い時期には南で過ごすためのキャンピングトレーラー「Tuscon」
生活感、ありすぎ?

日本で使うにはちょっと大きすぎる「Tuscon」。でも、寒い季節には南で過ごしたいという気持ちはよくわかるし、できるなら自分もそんな暮らしをしてみたい。また、花粉の季節には沖縄に移住したいという人も多いはずです。そんな願いが叶うギア、誰か作ってくれないでしょうか?