「Luca」はプラスチックごみで作られたクルマ。オランダ アイントホーフェン工科大学の学生によるチームが開発しています。

ゴミで作られたクルマ「Luca」
プラスチックごみで作られたクルマ「Luca」
Keyshot by Luxion

ゴミが重要な素材になりうることを証明する目的で製造されているコンセプトカー。そのボディはプラスチックゴミなどをリサイクルして製造されています。


ゴミで作られたクルマ「Luca」
ゴミが重要な素材になりうることを証明するコンセプトカー
Keyshot by Luxion

ボディの製造で使用された複合材料には、家庭ゴミとして排出されたPETボトルが採用されています。チームによれば、PETのリサイクル可能回数は10回程度なのだとか。でも、リサイクルの最終段階でクルマの材料としての利用を追加できれば、PETの利用期間を延長できます。ボディを製造する複合材料には、海で回収されたプラスチックゴミも使用されています。

ゴミで作られたクルマ「Luca」
ボディに使用されている複合素材
(C) HOWDO Creative Direction

シャシーの前後には、リサイクルの優等生であるアルミで製造されたチューブが配置されました。

ゴミで作られたクルマ「Luca」
シャシーの前後には、リサイクルアルミで製造されたチューブを配置
Keyshot by Luxion

「Luca」の開発ではまた、エネルギー効率を高める技術の研究も実施されています。現時点で実施されているのは、パワーユニットとしてのインホイールモーターの採用。この方式はモーター出力が直接地面に伝わるため、エネルギー伝達中のロスを軽減できます。

ゴミで作られたクルマ「Luca」
高効率なインホイールモーターを採用
Keyshot by Luxion

「Luca」では、ゴミを活用した製造だけでなく、新たなゴミの発生を抑える研究もおこなわれています。最近のクルマの多くではインフォテインメント操作用に大画面液晶パネルが搭載されるケースが増えていますが、このパネルは実はあまり長時間利用されることなく廃棄されています。クルマのオーナーがクルマに乗る時間は1日のうちのわずかな時間。インフォテインメントの操作をするのはさらに短い時間だからです。

「Luca」ではナビやマルチメディアの表示や操作ではドライバーが所有するスマートフォンを活用。液晶パネル廃棄数の低減を目指しています。一方で自動車の走行速度などはフロントスクリーン上に投影し、スマートフォンが無いときでもドライバーに重要な走行情報を提供可能にしています。

ゴミで作られたクルマ「Luca」
インフォテインメントシステムではスマートフォンを活用
Keyshot by Luxion

ゴミで作られたクルマ「Luca」
重要な走行情報はフロントスクリーンに投影
Keyshot by Luxion

アイントホーフェン工科大学によるチームは2020年の6月までの「Luca」の完成を目指しています。完成後はナンバープレートを取得して、公道を含む様々なシーンで耐久性、安全性のテストを実施。プラスチックゴミによるクルマの製造が現実的なものであることを、多くの人の目に触れるカタチで証明していくとしています。