元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル

「Cricket」は、「キャンピングトレーラーはゴージャスでなくてもよい」と考える人向けの製品。米国Taxa Outdoorsが開発したもので、現在2020年モデルの予約受付が実施されています。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
Taxa Outdoorsによる「Cricket」

「Cricket」をデザインしたのは、Taxa Outdoorsの創業者兼CEOであるGarrett Finneyさん。Finneyさんは子どもの頃から屋外で暮らすための小さな生活空間に魅せられており、いつかは自分で作りたいと考えていたそう。その夢を叶えるためにNASAに入り、宇宙で暮らす生活空間「国際宇宙ステーション」をデザインする仕事に10年以上従事したそうです。


でもFinneyさんは、もっと身近な場所で使える生活空間作りをしたくなり、NASAを辞めてTaxa Outdoorsを創業したのだとか。

そんなちょっと変わった経歴を持つFinneyさんの設計思想は「必要なものはすべて揃えるが、それ以上は装備しない」こと。これにより自然と向き合い、自然に入り込み、自分が自然の一部であってそこから切り離されては生きていけないことを実感できるキャンピングカーが製造できると、Finneyさんは考えています。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
限られた空間に、必要なものを厳選して装備

また、厳しい自然の中にあって「熊に襲われてもサバイブできる堅牢性」にも配慮。このような設計思想は、宇宙といういう最も厳しい“自然”環境で使用される国際宇宙ステーションの仕事で学んだことだそうです。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
ミスが許されない国際宇宙ステーションの仕事で学んだ設計思想

そんなFinneyさんがデザインしたキャンピングトレーラー「Cricket」2020年モデルは、軽量でありながら堅牢な作り。重さは約786kgでそれほどパワーの無いクルマでも牽引可能となっています。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
もうちょっと軽ければ、日本でもけん引免許不要で使えたのですが…。

室内はなぜか少しだけ宇宙ステーションを感じさせるムード。随所に見えるむき出しのリベットがそう感じさせるのかもしれません。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
謎の宇宙感!

そして「Cricket」の最大の特徴は大きな窓と大きなドア。室内と室外の境目を可能な限り無くし、自然の中に入り込むのを可能にしています。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
室内と室外の境界線を薄くする大きな窓とドア

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
リアゲートの開口も大きい

収納はベッド下に集約。頻繁に利用するものについては、ベッドを設置したままでも出し入れできる仕組みになっています。こういった収納テクニックもNASA時代に学んだのだとか。

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
ベッドはダイニングチェアと同じ高さにすることでフルフラット化を容易に
その下は収納に

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
ベッドの床面を閉じた状態でも、荷物を取り出せる

キッチンの配置はキャンピングトレーラーとしてはとても珍しいもので、フロント部分に横置き設置とされています。この配置のおかげでベッド面積が広く取れるようになりました。キッチン自体には2口コンロやシンク、冷蔵庫などが装備されています。

元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
フロントに横置きされたキッチン

キャンピングトレーラーって、宇宙ステーションだ-元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
2口コンロ装備

「Cricket」は、キャンピングカーとテントの中間にある宿泊設備と考えることもできます。そして米国にはこのような設備が必要な場所が多く存在しています。

筆者は以前、米国のヨセミテ国立公園でテント泊をした経験があるのですが、テントの設営中にはレンジャーが、熊に気を付けるよう口を酸っぱくして注意してきました。「おやつは必ず、あそこの鉄製ボックスに入れておくこと。さもないと、君たちがクマのおやつになるよ」。

そのような場所でキャンプをする際には、そしてゴージャスなキャンピングカーにうんざりしているのであれば、「Cricket」は重要な選択肢の一つとなるでしょう。

元NASAのエンジニアが作ったTaxa「Cricket」2020年モデル
キャンピングカーは宇宙ステーションだ!

「Cricket」の価格は3万4,983ドル(約390万円)から。日本からの購入も可能ですが、別途送料が必要となります。

(本稿内の画像はTaxa OutdoorsのMarisa Dobrotさんより提供していただきました)