ドイツ シーメンスが、すべての街灯を充電スポット化した通り「Electric Avenue、W9」を発表しました。800メートルにも渡る通りに建てられた24本の街灯のどれからも、電気自動車に充電できます。

すべての街灯が充電スポット化された「Electric Avenue、W9」

「Electric Avenue、W9」が存在しているのは、ロンドン  ウェストミンスターにあるサザーランド・アベニュー。この人気の住宅街に住む人たちの多くはアパートメント暮らしで、自宅に充電器を設置することができません。郊外の一軒家では充電器の設置は比較的簡単ですが、大気汚染が激しく電動化が最も求められている都市部ほど充電スポットを設置することが難しいというのが、英国の現状なのだとか。街中には急速充電器も存在しますが、それらは利用料金が高いそうです。


今回発表された「Electric Avenue、W9」は、ウェストミンスター市議会との協働で実施しているプロジェクトの一部。既存の都市インフラを活用することで、充電スポットを低コストで設置することと、それらを住民に低料金で提供することを目指しています。街灯のある場所には電源供給用ケーブルが敷設されているので、新たにケーブルの埋設工事を行う必要がなく、低コストでの設置が可能となっています。ウェストミンスターにはすでに296か所の充電スポットが設置されており、今後数週間で「Electric Avenue、W9」に隣接した2本の通りの街灯も充電スポット化される予定です。

すべての街灯が充電スポット化された「Electric Avenue、W9」

ガソリン自動車と比べたときの電気自動車のデメリットには、チャージ時間が長すぎるというものがあります。ガソリンスタンドで燃料をチャージするのは数分で済みますが、充電スポットでバッテリーをチャージするには数時間かかります。

シーメンスとウェストミンスター市議会によるプロジェクトは、このデメリットを“充電スポット数の増加”で解消します。クルマを利用しないときに自宅近くの街灯で充電できれば、充電に時間がかかったとしてもクルマの利用に支障はなくなります。プロジェクトでは2021年内に充電スポットを1,000か所に設置する計画としています。

すべての街灯が充電スポット化された「Electric Avenue、W9」

ガソリンスタンドでは、地下タンクへのガソリンの搬入やその管理で、メンテナンスコストや人的コストが必要となります。このため、短期間に1,000か所ものガソリンスタンドを設置するのは困難です。でも、街灯を活用した充電スポットであれば、比較的短期間で設置できます。

シーメンスによれば、英国ドライバーの36%がハイブリッドカーまたは電気自動車を購入したいと考えているそう。でも40%は充電スポットの不足を理由に購入を控えているそうです。街灯を充電スポット化することでロンドンを走るクルマの電動化を加速し、英国の首都の大気汚染を改善するのがこのプロジェクトの目的であると、シーメンスは述べています。

すべての街灯が充電スポット化された「Electric Avenue、W9」