米国カリフォルニア州在住の Nadir Bagaveyev 氏が、3D プリンタを使って宇宙に挑んでいる。なんと、3D プリンタでロケット エンジンを作り、最終的には超小型衛星を地球の周回軌道に投入しようというのだ。現在、開発や試験に必要な資金をクラウド ファンディング サービス Kickstarter のプロジェクト「3D-printed aerospike rocket engine」で集めている。目標金額は12万5,000ドルで、募集期間は1月29日から2月28日。残り10日ほどだが、まだ1,802ドルしか集まっていない。

試作エンジンを持つ Bagaveyev 氏
試作エンジンを持つ Bagaveyev 氏

Bagaveyev 氏が開発しているのは、エアロスパイクと呼ばれる形式の液体燃料ロケット エンジン。現在ロケット打ち上げに使われるエンジンと違い、気圧の違いに左右されず推進力を出せることが特徴。一般的なロケット エンジンは地表に近い気圧の高い環境で推進力が下がるのに対し、エアロスパイク型は低高度から高い推進力が得られるそうだ。同氏によると、組み立てるのは難しいが 3D プリンタなら容易に作れるという。

今回 3D プリンタで制作するエンジンの出力は 740lbf(重量ポンド:約 3.3kN)。超小型衛星を打ち上げる2段ロケットの、2段目のエンジンとして使う計画。

(左)第4世代試作エンジン  (右)試験を行うテスト ベンチ
(左)第4世代試作エンジン
(右)試験を行うテスト ベンチ

目標金額に達した場合、2014年4月にエンジンの試験を開始し、6月に燃料ポンプを取り付けた試験を始める。9月にはロケットの残りの部分を完成させ、地上で試験する予定。そして、早ければ10月、遅くとも12月には実際の打ち上げを行う。

ただし、人工衛星の軌道投入に必要なロケットを実現させるには、このエンジンより10倍強力で10倍大きな1段目が必要となる。Bagaveyev 氏は、2015年にこのロケットの開発に取り組み、年末には初の超小型衛星を軌道に投入したいとしている。

Bagaveyev 氏は、出資者に対してさまざまな特典を用意している。例えば、45ドル資金援助した人は、打ち上げに使うエンジンに名前を刻んでもらえる。1万ドル出した人は、試験ロケットの打ち上げボタンを押す権利が得られる。


プロジェクトの紹介ビデオ

(この記事は、弊社姉妹サイト、インターネットコムに2014年2月18日に掲載された記事を一部編集したものです)