Paul Brodie 氏のバイクショップ Flashback Fabrications は、蒸気機関を搭載した蒸気自転車(スチームバイク)「1896 ROPER STEAM ENGINE」を製作した。これは、Sylvester H. Roper 氏が1896年に製作した、世界最初の自動二輪車とされるスチームバイクの復元を目指したものだ。


「1896 ROPER STEAM ENGINE」は、1890年代バイクのレプリカ。ハンドルやサドルは当時の形状に近いものを特注し、取り付けた。


ハンドルやサドルは特注品  円筒状のものは“マフラー”ではなく、“煙突”!
ハンドルやサドルは特注品
円筒状のものは“マフラー”ではなく、“煙突”!

ブレーキとしては、当時利用されていた「スプーンブレーキ」と呼ばれるシステムを採用している。このブレーキは、タイヤの表面をスプーン状の金具で押さえつけて自転車を停止させるもの。現代のブレーキほど効きは良くない上に、力まかせにブレーキを握ると、タイヤがロックすることもあるという。

19世紀の技術「スプーンブレーキ」
19世紀の技術「スプーンブレーキ」

燃料として利用されるのは薪。薪をくべ、その熱で蒸気機関内部の水を沸騰させ、蒸気を発生させて推進力として利用する。

ここから薪を投入する
ここから薪を投入する

薪をくべたあとは、水温があがるのを待たねばならない
薪をくべたあとは、水温があがるのを待たねばならない

発生した蒸気はシリンダーを動かし、その力はピストンで車輪に伝えられ、  スチームバイクの推進力となる
発生した蒸気はシリンダーを動かし、その力はピストンで車輪に伝えられ、
スチームバイクの推進力となる

蒸気自転車の乗り心地について、Brodie 氏は次のように述べている。

「ハンドルは重く、シートの座り心地は良くない。ハンドルはカーブのたびに膝にあたるので、足を開いた“がに股”状態で乗車する必要がある。加速性能は控えめ。ブレーキは、特に水たまりを超えたあとは、ほとんど使い物にならない」

常に“がに股”状態
常に“がに股”状態

だが、デメリットを上回る、楽しさもあるようだ。

「蒸気自転車はとにかく楽しい。その音はまるで小さな蒸気機関車のようだ。Gagan 氏は多くの種類の面白いバイクを所有しているが、この蒸気自転車に対する人々の注目度は圧倒的だと述べている」

蒸気自転車は常に注目の的
蒸気自転車は常に注目の的

蒸気自転車は、時速30キロ程度での走行が可能だそうだ。

時速30キロ程度での走行が可能  走れ!おじさん!!
時速30キロ程度での走行が可能
走れ!おじさん!!

Pete Gagan 氏は、この蒸気自転車の動画を公開している。その音は、「シュッ、シュッ」という蒸気機関車のようなもので、確かに楽しげだ。


1896 Steam Motorcycle

「1896 ROPER STEAM ENGINE」のモデルとなった、“世界初のバイク”である Roper 氏のスチームバイクは、2012年1月にオークションに出品され、42万5,000ドル(約4,343万円)で落札されたという。

オークションに出品された Roper 氏の作品  今も走行可能だそうです
オークションに出品された Roper 氏の作品
今も走行可能だそうです