全日本空輸(ANA)は、3月から国際線の機内で公衆無線 LAN(Wi-Fi)「ANA Wi-Fi サービス」を順次開始する。空の旅の間、スマートフォンやタブレットでインターネットを利用できるようになる。料金は通信量 5MB につき6ドル(600円程度)などとなっている。

Airbus が出資する OnAir の衛星接続サービスを利用する
Airbus が出資する OnAir の衛星接続サービスを利用する

欧州の大手航空機メーカー Airbus が出資する OnAir の衛星接続サービスを介して、航空中も安定したネット接続が可能。導入対象となる機種は、大型機「ボーイング 777-300ER」19機と中型機「ボーイング 767-300ER」9機で、2014年度末までにすべて改修予定だ。


これにより欧米線やアジア線の一部路線で、手持ちのモバイル端末からメールやソーシャルメディア、ポータルサイトを利用できるようになる。ただしノートパソコンでの利用や、動画のダウンロードなどには適さないとしている。

また、どの路線のどの便で公衆 Wi-Fi が使えるのかは、運航状況によって変わるため、搭乗前の正確な事前確認はできない。利用できる場合は、目印として機内に専用のロゴが掲示されている。

なお、料金は通信量 5MB プランが6ドル、10MB プランが12ドル、20MB プランが24ドルとなっている。支払い方法はクレジットカードのみ。

ANA には今度こそ予定通りのサービス開始を希望したい。同社は2012年に OnAir との協力による機内公衆 Wi-Fi 導入を発表したが、その後「利用者が満足できる水準でのネット接続環境を確保できていない」として延期していた。

すでに日本航空(JAL)は国際線で公衆 Wi-Fi「JAL SKY Wi-Fi」を導入しており、2014年7月には国内線にも拡大する構えだ。ANA が追い付くためにはスピード感のある事業展開が求められる。

ANA のサービスが軌道に乗れば、2004年~2006年のあいだ続いた短命なサービス「JAL SkyOnline」「ANA@AIR」以来、数年ぶりに国内航空大手2社がそろって機内公衆 Wi-Fi を導入することになる。

JAL SkyOnline、ANA@AIR はともに米国の大手航空機メーカー Boeing の通信サービス部門と協力して運営していたため、同社が事業中止を決めると JAL、ANA とも終了せざるを得なかった。今回はそれぞれの協力相手も別で、リスクも低減されていると考えてよいだろう。いずれ空の旅でもインターネット利用が当たり前になることを期待したい。