ここ数年、“電動アシストに見えない電動アシスト”の開発競争が、特に一部欧州の国々で続けられていた。だがこの開発競争は、終わりに近づきつつある。電動アシストに見えないことは、当然のことになってしまったからだ。電動アシストに見えない電動アシストは、さらなる付加価値を競うフェーズに入った。

「Ampler」も、そのような競争に名乗りを上げた電動アシスト自転車。エストニアのAmpler Bikesが開発した。

付加価値競争に名乗りを上げた電動アシスト「Ampler」  (画像は「Hawk」モデル)
付加価値競争に名乗りを上げた電動アシスト「Ampler」
(画像は「Hawk」モデル)

「Ampler」の最大の付加価値は価格。クラシックスタイルの「Bilberry」モデルであれば2,290ドル、アグレッシブなルックスの「Hawk」モデルであれば2,490ドルで入手可能だ。利用者への直接販売により、この価格を実現したという。

クラシックスタイルの「Bilberry」モデル  電動アシストとしては安い価格が魅力
クラシックスタイルの「Bilberry」モデル
電動アシストとしては安い価格が魅力

直販システムで低価格を実現した
直販システムで低価格を実現した

低価格であるにもかかわらず、その性能は他の電動アシストにひけを取らない。1回の充電に必要な時間は約3時間で、アシスト可能な距離は約60キロ。標準的な自転車通勤者であれば、1回充電すれば1週間は充電なしで通勤可能だ。最高速度は時速35キロとなっている。

1週間充電なしで通勤可能  (注:欧州での標準的な通勤の場合)
1週間充電なしで通勤可能
(注:欧州での標準的な通勤の場合)

電動アシストとしては軽量なのも魅力の1つ。9段変速機の付いた「Bilberry」モデルは約17キロ、シングルスピードの「Hawk」モデルであれば14キロと、一般的な電動アシスト自転車よりも約35%の軽量化を実現している。この軽さは、バッテリー切れが発生したときには有利だ。

軽量なので、担いで階段を上るのも楽
軽量なので、担いで階段を上るのも楽

そしてもちろん、電動アシストには見えないルックスは、いまも魅力のひとつであり続けている。

バッテリーも、モーターも、ペダルセンサーも目立たない
バッテリーも、モーターも、ペダルセンサーも目立たない

バッテリーはダウンチューブに内蔵されている。同様のソリューションを取る電動アシストは多いが、そのチューブは若干太めとなり、近づいて見れば電動アシストとわかるものも多い。だが「Ampler」のチューブは、通常の自転車とほとんど変わらないサイズ。チューブを見て電動アシストと見破れる人はほとんどいないだろう。

バッテリーは、ダウンチューブに内蔵された
バッテリーは、ダウンチューブに内蔵された

日本製の電動アシスト自転車とは異なり、チューブ内からバッテリーを取り外すことはできない。充電は、シートチューブに取り付けられた充電用のマグネティックプラグを使用する。このあたりは、アパートやオフィスに駐輪場がなく、室内に自転車を持ち込むことの多い、欧州仕様と言える。

充電はシートチューブのプラグから  バッテリーを取り外すことはできない
充電はシートチューブのプラグから
バッテリーを取り外すことはできない

モーターは後輪ハブ内蔵タイプ。こちらも数年前のものと比較すると、小型・軽量化が進んでいる。

小型・軽量化された後輪ハブモーター
小型・軽量化された後輪ハブモーター

ほんの少し前までは、電動アシスト自転車のバッテリー、モーター、コントローラーはサイズが大きくて重く、デザインは不格好だった。だが、電動アシスト自転車という特別なものに装着される特別なパーツだからという理由で、不格好なデザインも許されてきた。

だがいまや電動アシスト用のパーツは特別なものではなく、サドルやハンドルなどと同様、自転車を構成するパーツの1つになりつつある。そうなれば、もはや不格好なデザインは許されない。小型・軽量で、美しいデザインが、バッテリーやモーターにも要求されている。


「Ampler」は今年の夏頃、欧州、ノルウェイ、スイス、米国で発売の予定。残念ながら、日本での発売は予定されていない。