以前から東京都大田区は、東急多摩川線の蒲田駅と、京急本線/空港線の京急蒲田駅とのあいだを鉄道で結ぶ新空港線「蒲蒲線」を実現させようとしている。蒲蒲線の構想は1987年(昭和62年)に生まれ、そろそろ27年になろうとする同区の「悲願」。それが、2020年の東京オリンピックに向けていよいよ動き始めそうだ。朝日新聞の報道によると、大田区が2020年中に暫定開業させ、2024年中に全線開業を目指す方針を明らかにしたという。

両“蒲田”駅を結び羽田空港へ延びる蒲蒲線  大田区が27年間想い続ける悲願
両“蒲田”駅を結び羽田空港へ延びる蒲蒲線
大田区が27年間想い続ける悲願

蒲田駅と京急蒲田駅は、同じ「蒲田」という名前がついていながら 800m ほど離れた完全に別の駅で、徒歩だと移動に約10分かかってしまう。蒲田駅には東急多摩川線だけでなく東急池上線と JR 東日本の京浜東北線が乗り入れており、京急空港線は羽田空港に直結しているため、蒲田駅と京急蒲田駅がつながると得られる利便性は極めて高い。


蒲蒲線で大田区を東西に走る横断ルートが確保される
蒲蒲線で大田区を東西に走る横断ルートが確保される

両駅間の移動が楽になるだけでなく、両駅に接続する各線の連絡によって通勤通学が便利になる。さらに、東京西南部や多摩地区、川崎、横浜などのエリアや、東急東横線と東京メトロ副都心線との相互直通運行にともない東武東上線および西武池袋線沿線方面から、国際化の進む羽田空港へのアクセスが飛躍的に向上するだろう。そのうえ、交通ルートを多重化できるので、運行障害時/緊急時/災害時などの迂回ルート確保といった役割も期待されている。

羽田空港へのアクセスが飛躍的に改善
羽田空港へのアクセスが飛躍的に改善

朝日新聞の報道では、大田区は東急多摩川線と京急空港線の約 3km 区間を地下化して直結するとの構想を示した。ただし、東急は線路幅の狭い狭軌、京急は幅の広い標準軌を採用しているため、単純に“線路を繋いで直結する”ことはできない。そこで大田区は、まず2020年中に多摩川線から京急蒲田駅までの区間を暫定開業させる。そして、軌道の幅の異なる区間を走行可能な「フリーゲージトレイン(軌間可変電車)」の実用化が見込まれる2024年中の全線開業を目指す。

なお、大田区は総事業費を約1,080億円と見積もっている。