10月24日、25日に群馬県は浅間山麓、嬬恋村や浅間牧場周辺で開催となった「浅間モーターフェスティバル」。会場にはTesla Motors(テスラモーターズ)の電気自動車(EV)「Model(モデル)S」が展示してあった。周囲はうっそうと茂る木々ばかり。都会のクルマという印象があるEVがどうやってここまで来たのだろうか。

今回ちょっとした目当てがあって、浅間モーターフェスティバルにやって来たえん乗り編集部。取材を終えて会場をのんびり見て回っていたところ、綺麗な赤いボディカラーのモデルSを発見した。そばにはテスラの「プロダクトスペシャリスト」というスタッフもいて、覗きこんでいく人に丁寧な解説をしていた。





紅葉に映える姿だが疑問も沸いた。バッテリーとモーターで走るテスラは最長航続距離こそ400~500km程度とはいえ、起伏の多い山中ではもっと短くなるはず。ガソリンエンジンをあてにできない純粋なEVは、土地にそぐわない印象を抱いたのだ。そこで近寄って尋ねてみた。

「素敵なクルマですね。これ、テスラ モデルSですか」
「はい、そうですよ」
「どうやってここまで来ましたか」

きっとトレーラーに積んで来るか何かしたのだろう、と予想しながらの質問だった。ところがテスラのスタッフは少しはにかみながらも、あっさり答えた。

「運転してきました」
「え、充電ステーションありましたっけ」
「村役場で充電してきました」
「村役場」

浅間山麓の嬬恋村役場前には充電ステーションがあるのだそう。あとから調べてみると、ほかにも村のコンビニエンスストアやホテルに同様の施設があるらしい。意外にEV対応が進んでいるのだなと逆に不明を恥じる結果になった。

後ほどテスラのスタッフは色々とモデルSについても紹介してくれた。最も興味深かったのはインターネット接続機能。モデルSは最近の流行に沿って通信モジュールを内蔵し、3G回線などにつながるコネクティッドカーだが、もちろん電波状況が悪ければ意味がない。しかし山の中でも大きなディスプレイにアンテナの形をしたアイコンが力強く灯っていて、Yahoo! JapanやGoogleマップといったサービスが問題なく使えるようだった。



「今時は山の中でもつながるんですね」
「そうですね。システムの更新もできます」

日本のインフラは地味に整備が進んでいるなと感じさせられる秋の午後だった。