日本のボンドカーこと「トヨタ 2000GT オープンカー」。半世紀前のクルマをトヨタ博物館が走行可能な状態で所蔵していることは話題になった。だが実は、その血族とも言うべきもう1台の 2000GT オープンカーが存在するという。そう、茨城県の「サーキットの狼ミュージアム」に。

もう1台の「トヨタ 2000GT スポーツカー」(写真提供:サーキットの狼ミュージアム)
もう1台の「トヨタ 2000GT スポーツカー」(写真提供:サーキットの狼ミュージアム)

「サーキットの狼」。カーレース漫画の歴史に燦然と輝く不朽の名作。一匹狼の走り屋、風吹裕矢が幾多のライバルと、時に公道で、時にサーキットで激闘を繰り広げる物語は、今も思い出すだけで多くの人の心をときめかせる。


その作者、池沢早人師氏の夢が、名高いスポーツカーを集めたミュージアムを開くことだった。夢に賛同したコレクターらが協力し、2009年に同氏の漫画家デビュー40周年を記念して開館したのがサーキットの狼ミュージアムだ。同作品を生かし、日本のクルマ文化を維持、継承、発展させるという目的を掲げている。

風吹裕矢仕様の「ロータスヨーロッパ スペシャル」をはじめ、さまざまな名車が展示してあるが、あいだに混じってトヨタ 2000GT オープンカーの姿もある。

20年以上前に事故車をもとに改造して生まれたモデル。今もみずみずしい姿だ  (写真提供:サーキットの狼ミュージアム)
20年以上前に事故車をもとに改造して生まれたモデル。今もみずみずしい姿だ
(写真提供:サーキットの狼ミュージアム)

トヨタ博物館の所蔵するオリジナルのボンドカーは、試作車をもとに製造したもので非公開。だがサーキットの狼ミュージアムにあるのは量産車を改造したもので、誰でも会うことができる。ナンバープレートを取得しており、公道を走行可能だ。

このクルマの存在は、かねてからトヨタ自動車も知るところ。サーキットの狼ミュージアムでは 2000GT のオーナーズクラブを通じ、幾度か同社のイベントに貸し出しているとか。富士スピードウェイでオリジナルのボンドカーと2台同時にパレードランをしたこともあるといい、ファンの中には見覚えがある人もいるかもしれない。

ちなみに、ナンバープレート付きの 2000GT オープンカーは日本にいま1台存在し、俳優の唐沢寿明氏が個人所有しているそう。イベントで目にする機会はあるかもしれないが、残念ながらいつでも会えるという訳にはいかない。

サーキットの狼ミュージアムは毎週土曜日、日曜日に開館する。住所は茨城県神栖市息栖1127-26。クルマの場合は東関東自動車道潮来I.C.から15分で着く。電車の場合は JR 潮来駅よりタクシーで20分、小見川駅より同18分だ。