「GeoOrbital」は、前輪をリプレイスするタイプのコンバージョンキット。取り付けると、手持ちの自転車を電動アシスト自転車にトランスフォームできる。

「GeoOrbital」は、パンクレスタイヤ、モーター、バッテリーと、これらを統合するコントローラーによって構成された製品。26インチ版と700C版が用意されており、これらのサイズのタイヤを装着していて、リムブレーキを採用している自転車の多くをサポートしている。



搭載されたモーターは500Wとパワフル。わずか6秒で最高速度である時速32キロに到達するという。一回の充電での航続可能距離は約80キロ。


開発したのは米国ケンブリッジに本拠を置くGeoOrbital。同社は、都市部の交通渋滞を緩和し、駐車場不足を解消するために「GeoOrbital」をデザインした。この目的を達成するために徹底したのは、取り付けを簡単にすること。60秒で愛車に取り付け可能にすることで、利用者の精神的なハードルを下げて、手軽に利用してもらえることを目指したという。


目的達成に向けたもうひとつの工夫は、パンクレスタイヤの採用。通勤中にパンクした場合、会社に遅刻してしまうことも考えられる。だが、パンクを理由にたびたび遅刻をしていると、オフィス内で自転車通勤者の肩身が狭くなってしまう。パンクレスタイヤにすることで、パンクの心配からだけでなく、定期的に空気を入れる手間からも解放される。


「GeoOrbital」のメリットは他にもある。前輪に取り付けることで、自転車は前後両輪駆動となるのだ。4輪駆動のクルマが雪道に強いように、「GeoOrbital」を取り付けた自転車は、通常の自転車よりも悪路に強くなると開発元は主張している。雪の多い、米国ボストンの冬の通勤では、これはうれしい機能だろう。


GeoOrbitalは現在、「GeoOrbital」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中。本稿執筆時点では、599ドルの出資で「GeoOrbital」を1台入手可能だ。入手に必要な金額はキャンペーンが進むにつれて上昇し、終了後の市販価格は950ドルになる予定。


GeoOrbitalは残念ながら日本では電動アシスト自転車としては認められず、公道を走行することはできない。公道を走る場合には、前照灯や反射器材などの保安装備を取り付け、ナンバーを取得する必要がある。だが、取得方法は自治体によって異なり、取得できない可能性もある点には留意されたい。