「くめがわ電車図書館」を知っているだろうか。東京都東村山市にある、引退した電車の車体をそのまま使った図書館だ。半世紀近くも昔から、子どもが楽しく本を読める場所として、団地の中に静かにたたずんでいる。

団地の木立の中にたたずむ電車図書館(写真提供:東村山市)
団地の木立の中にたたずむ電車図書館(写真提供:東村山市)

電車の座席もそのままに本棚がずらり(写真提供:東村山市)
電車の座席もそのままに本棚がずらり(写真提供:東村山市)

■本物の図書館より前からあった電車の図書館

くめがわ電車図書館の歴史は古い。1967年。まだ東村山に市立図書館がない頃、久米川団地の自治会が中心となり、西武鉄道の廃棄車両を貰い受けて開館した。その後、団地の建て替え時には、存続が危ぶまれたが、2001年には市をはじめ大勢の人々が協力し、新たに黄色い車両「クハ1150」を得て再出発した。

いまだに市立図書館ではなく、住民の手で運営する「文庫」という位置付け。子どもが自由に本と出会い、友達と楽しみ、親子が一緒に学べる施設だ。絵本、児童書を中心に約5000冊の蔵書があり、誰でも会員になれば本を借りられる。絵本の読み聞かせ、工作あそびの催しなども開いているそう。大人の読書会も行っているとか。また保育園や幼児施設からは散歩コースの目的地ともなっている。

子どもや地元の人の憩いの場所だ(写真提供:東村山市)
子どもや地元の人の憩いの場所だ(写真提供:東村山市)

■裏方で支える鉄道ファン

ところで、図書館に使っているのが、西武鉄道の昔の車両となると、鉄道ファンが放って置けるはずがない。

くめがわ電車図書館は広く開かれているが、基本は子どもと地元の住民が利用する場所だ。遠くから無関係な人が押しかけて無遠慮にカメラを向け、トラブルが起きる、といった事態にはならないのだろうか。

実はそんな心配とはまるで逆に、鉄道ファンは裏方としてこの貴重な施設を支えている。西武鉄道を愛する有志が、きちんと許可を得たうえで清掃、修繕、はげた塗装の塗り直しなどをボランティアで行っているのだ。

よく見るとあちこち傷んだ電車図書館(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)
よく見るとあちこち傷んだ電車図書館(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)

 放っておけないのが鉄道ファン(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)
放っておけないのが鉄道ファン(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)

きれいに塗って(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)
きれいに塗って(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)

お化粧なおし(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)
お化粧なおし(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)

ピッカピカになりました(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)
ピッカピカになりました(Twitter ユーザーの厚意により許諾を得て転載)

東村山市も電車図書館を運営している住民も、こうした協力に感謝を示し、遠方から訪れる「大人のお客様」が増えたことに好意的。鉄道を愛する気持ちが地域貢献にもつながり、多くの人の喜びになる。素敵な関係がこれからも続くよう、心から願いたい。