「SAM」はポーランド生まれの電動3輪車。その「SAM」を開発したSAMが米国でプリオーダーを開始しました。2016年には米国進出を決定したと発表があったのですが、あれから2年あまりが経過して、やっとそのプランが実現しそうです。
「SAM」の最大の特徴はガルウィングドア。これはレースに向けた効率的なデザイン……というわけではまったくなく、狭い場所での利便性を高めるために装備されたものです。
「SAM」は一般的なクルマよりも全幅がはるかに狭いのですが、一般的なドアを取り付けてしまうと、ドアを開いたときにそれなりのスペースを取り、結果、ある面積に駐車できる台数が一般的なクルマとあまり変わらなくなってしまいます。クルマを小さくしても人間が小さくなるわけではないので、ドアのサイズは小さくできないためです。
でも、上に向けて開くガルウィングを採用すれば、狭い場所でも乗り降りが可能に。これにより、わずかなスペースに複数台の「SAM」を駐車可能にできます。
今回のプリオーダーでは、カブリオレタイプ(?)を謳う「SAM Cabrio」も選択可能となりました。これはなんと、ドアを取り外してしまったモデル。「ドアがあるために狭いスペースに駐車できないなら、ドアを取ってしまえ」という、日本人にはなかなかできそうにない画期的な発想でデザインされています。とはいえ晴れた日にカリフォルニアを走るには、これはこれで楽しそうですね。
スペックなどは以前に発表されたものとあまり変わってはいません。最高速度は時速90キロ。フル充電で約100キロの走行が可能です。フル充電に必要な時間は5時間ですが、インテリジェント充電システムにより1時間で約40%までの充電が可能となっています。
メーカー希望小売価格は9,999ドルから。米国での出荷は2019年の第1四半期に予定されています。
2016年にSAMのWaclaw Stevnertさんにインタビューした際には、同社は「SAM」の日本市場投入を計画しているとのことでした。でもこの計画は、現在はかなり後退気味のようです。
SAMが米国進出するにあたり、日本進出について再度尋ねたのですが、同社Joe Cabreraさんより現在は米国市場でのポジションの確立にフォーカスしているとの回答を得ました。同社はカリフォルニアでの「SAM」の生産に向けた準備を進めているのだとか。
Joe Cabreraさんによれば、「SAM」を日本に送ることは可能とのこと。でもその後日本で「SAM」を公道走行可能にするにはとても多くの障壁が。この障壁を困難ととらえるのではなく、むしろ障壁を超えるのを楽しめるという人には、「SAM」をぜひ購入してほしいとのことでした。