
「MULTI」では、リニアモーターカーでも利用される磁気浮上技術を活用。従来型エレベーターとは異なりケーブルシステムが不要になるため、「カゴ」が縦方向だけでなく、横方向にも動けるのが特徴だ。

「MULTI」では、「カゴ」が縦方向だけでなく横方向にも動く
従来のエレベーターではケーブルがあるために、一度に運用可能な「カゴ」の数が限られ、これがエレベーターホールでの待ち時間を生み出す原因となっている。だが「MULTI」では、複数の「カゴ」を同時に動かせるため、待ち時間の大幅な短縮が可能だ。ThyssenKrupp によれば、ボタンを押してから「カゴ」が到着するまでの待ち時間は15秒から30秒程度となり、「MULTI」が設置されたオフィスビルに勤務する従業員の時間効率を大幅に向上できるという。特に高さ300メートル以上の高層ビルでは、導入のメリットは大きいそうだ。

従来型のエレベーターでは、一度に運用可能な「カゴ」の数が限られている
「MULTI」はまた、省スペースで設置できるというメリットもあるという。従来型のエレベーターでは、各エレベーターの最上部に巻上機を設置する必要があった。だが、MULTI には巻上機は不要なため、その分スペースを削減できる。
ThyssenKrupp は、2016年の終わりまでにテスト用のタワーを設置し、MULTI のテストを開始するとしている。

ThyssenKrupp が建築予定のテスト用タワー(イメージ)