
海外の自転車メディアを見ていると、「2019年は電動化が加速した1年だった」「電動アシスト自転車と電動バイクの境界線が薄くなった年だった」といった今年のまとめが掲載されています。この1年の人気記事を見ても、これまでクルマに乗っていた人向けの通勤用の電動アシスト自転車や、ダウンヒルが趣味の人向けのe-MTBなどが目白押し。
では日本では?というと、欧米ほどは電動化は話題になっていません。えん乗りでも通勤向けの電動アシスト自転車はかなりの数紹介してきたのですが、日本ではもともと電車通勤をしている人が多いこともあって、人々の関心は惹きつけないみたい。クルマから自転車に乗り換えるとCO2削減に大きな効果が期待できるのですが、電車から乗り換えても…というところはありますよね。
では、えん乗りでは2019年、どんな自転車が人気だったのでしょうか?SNSで反応の大きかった自転車トップ10を集めてみました。
■1位 雪山用の重装備な電動アシストMTB ―バック・カントリー・スキー向けのコンセプトモデル「Sk-eRide」
1位は、英国SCOTT Sportsが公開した電動アシストMTBのコンセプトモデル「Sk-eRide」でした。

環境に影響をあまり与えずに、バック・カントリー・スキーが可能な場所まで移動するための乗り物。電動なのでスキーヤーの体力を温存することもできるというメリットも持っています。MTBを電動化すれば、クルマでもできないことを実現できるという可能性を示すためにデザインされたものです。

でもこの記事に対して書き込まれたコメントを読むと、その可能性やコンセプトよりも、エスプレッソメーカーまで搭載したルックスが受けていたようです。

■2位 重さ6.2キロの自転車用ロック 下手すると自転車フレームより重い「SAF Lock」
タイトル通り、重さ6.2キロの自転車用ロック。米国ではディスクグラインダーを使ってU字ロックを切断する自転車泥棒が増えているのですが、それに対抗するために製造されたものです。

U字ロックのシャックルを80ミリのシェルでカバー。こうすることでグラインダーのディスクがシャックルまで到達できないようにして、盗難を防いでいます。

でも、他にもっとよい方法はなかったのか?
太さは正義!な製品。でも「6.2キロは辛い」「バックパックに入れたら、穴があきそう」といった意見が多く書き込まれました。

■3位 雪かき自転車は、想像したよりも除雪性能が高いようです
米国コネチカット州在住のRob Wotzakさんが製作した雪かき自転車。Rob Wotzakさんは、雪かきは大嫌いなのですが自転車は大好きなので、雪かき自転車なら楽しく除雪できるのでは?と考えて製作に取り組んだそうです。

■4位 リアキャリアで運べるサイクルトレーラー「Trenux」、Kickstarterに登場
サイクルトレーラーは、使ってみるととても便利。でも使わないときには置き場所に困るし、取り付けたり取り外したりもちょっと面倒です。そんなサイクルトレーラーをリアキャリアで運搬可能にしたアイディア商品「Trenux」が4位にランク入りしました。

平日は自転車で通勤し、週末には買い物にでかける、という人にぴったりのトレーラーです。

という家族のリクエストに応えられます
■5位 電動…じゃなくて、ガソリンアシスト自転車? - なぜか欲しくなるルックスのモペッド「Phatmoto」
5位に入ったのはモペッド「Phatmoto」。黎明期のバイクそっくりなルックスですが、実際に買った人からは、「電動アシスト自転車はバッテリーの充電に時間がかかる。ガソリンなら、すぐに給油ができて便利」という、ガソリンの良さを再発見する声が聞かれました。

トップチューブがガソリンタンクというデザインも、男心をくすぐります。

■6位 レバーを踏んで走る自転車「NuBike」―チェーンよりもシンプルで、高効率?
米国ロサンゼルス在住の発明家Rodger Parkerさんが開発した「NuBike」。リアハブに直接取り付けられたレバーを踏み、その力で前進する仕組みを持っています。

ぜひ乗ってみたいと思っていたのですが、「NuBike」の製品化に向けたKickstarterでのキャンペーンは失敗に終わっています。残念ながら我々が「NuBike」で走れる日は来なさそうです。
■7位 手を汚さずにチェーンに注油できるFLECTR「LUBRI DISC」
「LUBRI DISC」は、手を汚さずに自転車のチェーンに注油するためのツール。英国バーミンガムに本拠を置くFLECTRが開発したものです。

1位~6位までと比べると、ぐっと実用的な商品。この商品はKickstarterでのキャンペーン後、FLECTRの公式Webサイトでの販売が実施されています。
■8位 一般家庭向けにデザインされたカーゴバイク ― 小回りの利く「Bogbi Cargo Bike」
「Bogbi Cargo Bike」はノルウェイ在住のHavard Ostbyさんらが開発した小回りの利くカーゴバイクです。

ノルウェーは石油や天然ガスの輸出を開始した1970年代から急速に豊かになった国。でも今の若い世代は、ノルウェーから輸出される石油や天然ガスが気候変動に悪影響を与えているのでは?と、親世代に不信感を持っているのだそうです。
「Bogbi Cargo Bike」は、そのような若い世代のアイディアによる自転車。気候変動を少しでも抑えることを目指しています。
■9位 ニューヨークデザイン! サイドカー付きの自転車「Side Car Bicycle」―中型犬なら3匹乗せられる
「Side Car Bicycle」はサイドカー付きの自転車。仕事にも遊びにも使えるようにデザインされており、平日はサイドカー部分に荷物を載せて配達に利用し、土日は遊び道具を載せて公園やビーチに出かけられます。

耐荷重は約45キロなので中型犬なら3匹までは乗せられるのだとか。ドッグランまで、犬を乗せて出かけられます。

■10位 自転車で自転車を牽引できるExozox「BIKE PLATFORM」
最後に紹介するのは「BIKE PLATFORM」。ポーランドExozoxが販売している自転車で自転車を牽引するためのツールです。

2台の自転車を牽引できるのが特徴。子ども2人と公園までサイクリングにでかけ、2人とも遊び疲れて寝てしまった…なんてときに便利です。

こうして眺めると、やはり、クルマを捨てて自転車に乗り換える人向けの製品が多く登場していることがわかりますね。
2020年もこの傾向が続くみたい。また、スマートフォンとの連携をさらに深めたものや、Uber Eatsなど出前に便利な機能を搭載したもの、シェルで覆って雨が降っても濡れなくて済むものがリリース予定になっています。規制のため日本では乗れない自転車も多いのが残念ですが、それでも2020年の新機種が楽しみです。